開幕1軍。実績のない若手はこの日を目標に、自主トレからキャンプ、オープン戦を過ごしてきた。阪神ドラフト1位伊藤隼太(22=慶大)は開幕スタメンも決定的で、次なる命題はマートン復帰後も1軍に生き残ること。

 即戦力ルーキーは自らの力で開幕1軍という扉を開いた。そこでひと息つくことは許さない。マートンが復帰するまでの期間。いかにアピールするか。指揮官は伊藤隼に次なる試練を与えた。

 和田監督

 外野もできる選手が多いロースター(登録)になっているが、マートンがいない間にチャンスをつかむ選手が出てきてほしい。そういう中の筆頭になるような選手になってほしい。

 本拠地開幕となる4月6日がマートンの1軍復帰メドになるが、早まる可能性もある。2カード以内で、足跡を残さないと、一気に2軍降格のピンチに陥る。柴田や俊介、浅井らレギュラーが確約されていない選手とのサバイバルの始まりでもある。

 和田監督

 帰ってきたら、控えに回るじゃなく、ファームに行かないといけなくなる。帰ってくる何日間で競争を見せてもらわないと。安閑としていられない。1日、1打席が勝負になる。結果を見せると、使い方の幅も広がってくる。

 伊藤隼は粘り強くアピールを続け、メジャーとの日米親善試合では2戦で6打数3安打と結果を残した。阪神の新人外野手では、40年ぶりとなる開幕スタメンが決定的な状況だ。それでも、置かれている立場は十分に理解していた。

 伊藤隼

 第1段階をクリアできたのは、うれしいが、喜んでいる場合ではない。いかにチームに貢献できるか。オープン戦とは違う。結果を求めてやっていきたい。新人だから…、というのは許されない。勝利に貢献できるように、ベストを尽くしたい。

 数年来のチームの課題である「世代交代」を克服するために、ドラフト1位で指名された。明日30日、DeNA戦。期待を背負いながら、伊藤隼の挑戦が始まる。【田口真一郎】