<広島2-6阪神>◇9日◇ハードオフ新潟
オー、エチゴット!
阪神代打の神様桧山進次郎外野手(42)が越後新潟で逆転の口火を切った。1点を追う7回2死二、三塁。三塁ファウルゾーンへの飛球を打ち上げ万事休すと思いきや“神風”に救われセーフ。打ち直しを中前に同点打を運んだ。ここからの4連打で一挙5点の大逆転劇。和田監督も「さすが」とうなった。越後の虎は2連勝、強かった!
流れをひっくり返す一撃だった。1点を追う7回2死二、三塁。和田監督は代打の切り札・桧山を送った。広島岸本に対してフルカウント。最後はフォークだった。速球のタイミングで踏み出した桧山だが、うまくヘッドを残し、沈んでいくボールに合わせた。まるで白球をバットに乗せて運ぶような芸術的な弾道で遊撃手の頭上を越した。
「あれを引っかけないで、素直にきた方向へ返せるところがベテランの成せる業だ。さすがや!」
和田監督もうなった。流れを一変させる同点打。ここから鳥谷、平野、マートンと安打がつながって一挙に今季1イニング最多5点を奪って逆転に成功し、新潟シリーズを2連勝だ。
まさに「代打の神様」が生み出した流れだった。事実、桧山の“神通力”かと思うようなシーンがあった。カウント2-2から速球を打ち上げた。三塁ファウルフライとあきらめかけた打球は広島堂林が追い方を誤って捕れず。まさに“神風”が吹いた。こうして命拾いした後、同点打が生まれた。
「追っているところが違うかなあとは思った。ああやって、仕切り直すことができて。打ててよかった」
桧山はこう振り返った。だが、勝負を決める一打は断じて“神通力”などではない。1打席にかける準備のたまものだ。今季から予告先発制度が導入された。スタメンの野手たちは、前の晩から対戦相手をイメージできるようになった。ただ、桧山は違う。日々、自分の頭の中で相手を予想しながらバットを振る。
「(予告先発は)野手には有利だろうな。でも、オレはそういうわけにはいかないから。相手のリリーフをイメージして練習しているよ。だれ(をイメージする)かは状況によって変わってくるから」
相手の陣容、試合展開を想定して対戦しそうな投手を割り出す。この日、広島のリリーフ左腕は前日に押し出し四球で自滅した江草1人だけ。対戦が考えられるのは、いずれも速球派右腕の岸本、今村、ミコライオ、サファテだった。桧山は試合前、右投げの中井打撃投手に、少し前に出て力を込めて投げるようリクエストした。速球対策-。こうした準備が勝負を決める一打を生んできたのだろう。
代打での打点は浅井(広島)を抜いてセ・リーグ単独5位となった。元祖「代打の神様」八木育成チーフコーチの98打点にまた1歩、近づいた。「やっている時はそこまでわからないから」。先を見ず、後ろも振り返られない。あるのはその1打席のみ。桧山のひと振りが猛虎の勝利を積み上げていく。【鈴木忠平】
▼阪神7回の5点は1イニング今季最多得点。これまで4月10日広島戦(マツダスタジアム)22日DeNA戦(横浜)での4点が最多だった。ハードオフ新潟では、これまで7、3、9安打と貧打に泣いて3連敗を喫していたが、前日に続く今季初の2試合連続2桁安打で連勝。鬼門で虎が目覚めた。



