<オリックス6-6ソフトバンク>◇10日◇ほっともっと神戸
胸に、ジワッときた。通算350号を放ったソフトバンク松中信彦外野手(38)の目に、三塁べースの向こうではしゃぐ仲間たちが目に入った。右拳に力を込め「ヨッシ」と大きくほえた。9回2死一塁。今季8度目の代打で、最高の結果を出した。
「前回も岸田に三振を食らったので、真っすぐに遅れないようにと思った」と言うように、1ボールからの低め直球に反応した。中堅フェンスのギリギリに届く起死回生の1発。「チームが負けなくて良かった」。4月19日の王手から3週間。自分の節目より敗戦寸前からのドローを素直に喜んだ。
不格好でも構わない。帽子の裏につづる「努力」の2文字こそ礎石だ。高校時代に左肩を痛め、右投げに転向。熊本・八代に設ける自身のスポーツミュージアム。2個並んだ左右のグラブを「これが一番の自慢」と笑う。新日鉄君津時代に手術を受け、左投げに戻るが、困難に見舞われる度に野球の神様を振り向かせてきた。
昨オフはFA補償のプロテクトから外された。開幕こそ4番だったが、代打が多い。「こういう状況を招いたのは自分のせい。しっかり練習して代打で結果を残して、7、8、9月という大事な時にレギュラーで出られるようにしたい」。泣き言は決して言わない。【押谷謙爾】
▼通算350本塁打=松中(ソフトバンク)
10日のオリックス9回戦(ほっともっと神戸)の9回、岸田から今季2号を放って達成。プロ野球27人目。初本塁打は98年9月5日の西武22回戦(西武ドーム)で西口から記録。



