<ロッテ6-4ソフトバンク>◇11日◇QVCマリン

 ロッテが今江敏晃内野手(28)のダメ押し打で首位を奪回した。1点を先制した1回に2点目の犠飛。7回にも試合を決定づける右前適時打を放った。4月は打率1割7分1厘と「プロに入ってから、こんなに悪かったのは初めて」という大スランプ。だが不振時も、いろんな選手の練習法、技術をマネして修正を図った。復調した5月は打率4割5分2厘と打線の核となっている。今江のマネに迫る。

 今江のプロ選手としての源流には「マネ」がある。「子供のころ、落合さんの構え方、原監督のホームラン後のバットの放り投げとか、いろいろマネた」。格好つけたわけではない。「うまい人の技術にはいろいろなヒントがある」。だから観察し、自分にいいものだと思えば、試行した。

 マネはプロ選手に限らない。自宅での高校野球観戦時。「この子、うまい右打ちをするな」。ドラフト注目選手でもなく、名前も覚えてない。だが流し打ちに目を見張った。「高校生でも長距離打者ではなく、自分と同じタイプの選手を見る」と独自の視点がある。

 マネは打法に限らない。ヘルメットのひさしの裏は赤く塗られている。巨人の高橋由から聞いて取り入れた。「視界の上が明るいと、モノがはっきり見える。赤は闘争心も沸くと聞いたので」。用具も対象だ。

 その今江も4月終了時に打率1割7分1厘と苦闘した。「感覚が分からない」。プロ人生で最悪のスランプ。同下旬には金属バットで練習してみた。新聞で高橋由が試みたのを見たからだ。「金属は高校生以来。詰まっても痛くない。でもあまり意味はなかったかな」。試行錯誤だった。

 5月に入ってもマネは続いた。昨季の自身の安打集DVDを見て、ふと考えた。「いい時はノリさん(DeNA中村)みたいに手首の遊びがあった」。手首をグルグル回すように間合いをはかる中村の構え。「完全にマネする、というより、こういうイメージで遊びをつくろう」。遊びがないと力んで顔が自然とバットに近づき、ボールとの距離感に余裕がなくなっていたことにも気付いた。

 いろんなことを試し、ゴールデンウイークは徐々に調子を上げた。この日、7回に甲藤の外角低めのスライダーを右前に運ぶダメ押しの適時打。「ずっとあの球にやられていた。あれを捉えられれば幅が広がる」。不振時は右投手の同コースのスライダーに何度もバットを放り投げた。だが課題の球をクリアし、自信を深めた。5月に入り、9試合で31打数14安打7打点。好調ロッテで今江が、誰にもマネできない働きを始めている。【広重竜太郎】