<巨人4-2楽天>◇5月31日◇東京ドーム

 期待の新人がプロデビューを果たした。楽天のドラフト1位武藤好貴投手(24)が、巨人戦の7回に3番手でプロ初登板。2イニングを投げ無安打無失点に抑えた。結果だけならまずまずのデビュー戦だったが、変化球の制球が定まらず、2回で44球を費やし2四球を与えた。村田、高橋由を空振り三振に打ち取ったが、制球面で課題の残る登板となった。

 異様に緊張した。武藤はガチガチだった。3万6503人の中でのデビュー戦。最初の打者は4番村田だった。1ボール1ストライクから3球目のカーブはたたきつけたようにワンバウンド。指先が思うように動かない。結果的に空振り三振を奪ったが「ものすごく緊張しました。マウンドに上がる前から緊張してましたね。体が思ったように動かなかったです」と苦笑いで振り返った。

 苦しい投球だった。ボール先行でカウントを悪くし、球数も増えた。7回だけで25球。守備の時間が長くリズムを悪くし、攻撃への流れをつくることができなかった。2回で44球。「最悪でした。ブルペンからいいボールと悪いボールがはっきりしてました。全然ダメでした」と納得のいく登板とはならなかった。森山投手コーチも「ボールが多すぎ。ボールが先行していたし、リズムがつくれない」と辛口だった。

 ドラフト1位の即戦力右腕も、フォーム修正に苦しむ日々が続いた。2月のキャンプは1軍だったが、3月中旬に2軍降格。佐藤投手コーチから肘の使い方と投球時に体が早く開いてしまう癖を直すよう指摘されてきた。2軍調整中の4月上旬、フォームを修正しようとするあまり「投げ方が分からなくなって…。全然ダメです」と悩んだ日々もあった。自分のフォームを取り戻すため、JR北海道時代のビデオを遠征先の宿舎で繰り返し見直したこともあった。「やっと戻ってきました」。修正点を意識しながら徐々に理想のフォームにも近づいてきた。

 2軍では14試合の登板で防御率2・16と結果を残し1軍に昇格した。2回無失点の投球に星野監督は「0に抑えたから、いいきっかけにしてくれれば」と期待を寄せた。納得いく登板内容ではなかったが、収穫について武藤は「気持ちは楽になりました」。やっとスタートラインに立ったばかり。厳しい戦いはこれからだ。【斎藤庸裕】