<楽天8-3阪神>◇6日◇Kスタ宮城

 最後の最後、楽天田中将大投手(23)は「田中」に戻ろうとした。8-2で迎えた9回2死。球団初の阪神との交流戦勝ち越しは目前だった。ここで今成。3球で追い込んでから粘られた。「しっかり腕を振った」が5球目、この日最速151キロもファウル。最後は14球目、直球を右翼線に運ばれ二塁打。続く田上の中前打で3点目を失った。8安打3失点で完投勝利は手にしたが「勝った気はしません」。笑顔はなかった。

 14球の内訳は直球7、スライダー5、スプリット2。序盤に2失点した後、4回以降は「相手の意識はフォーク(スプリット)、スライダー。軸球を変えた」。これまで1試合数球のカーブを多投。緩急で8回までしのいだ。最終回の今成にカーブの選択肢はなかったか。「ありました。ありましたけど…、点差もあった」。言葉を濁したが、直球でねじ伏せるスタイルで決めたかった。裏目に出たが、こだわりが田中らしい。星野監督は「意地、張り過ぎ。エースとはそういうもんだけどな」と笑った。

 腰痛から復帰2戦目、4月19日以来の勝利だ。リハビリに励んだ5月。努めて前を向いた。「壁とは思いません。後ろ向きなことを考えてもしょうがない」。ナイター中心の1軍と違い、7時前に起床。昼すぎに帰宅すると、まぶたが重くなる。昼寝して、夜はテレビで応援が日課になった。「ストレス、たまりますよ」と漏らしたこともあったが、「自分の体は自分にしか分からない」と早期復帰に動いた。高校時代に経験したPNF(固有受容性神経筋促通法)トレーニングを導入。つてを頼りに東京へ足を運び、腰痛の原因、脊柱のズレを補整した。

 すんなり復帰白星、とはいかなかった。だが、野手の大量援護は、これまでの頑張りへのお返しにもみえた。「野手の方に感謝です。反省は多い。やることをやります」。次は納得の勝利をつかむ。【古川真弥】