<広島3-7ソフトバンク>◇9日◇マツダスタジアム

 休んでなんていられない。広島ニック・スタビノア外野手(30)が意地の一打を放った。8回、ソフトバンク摂津から左前適時打を放ち、敗戦の中で気を吐いた。雨中のドローだった8日は右太もも裏の違和感を訴えて途中交代していたが問題なし。強行出場した4番が、逆襲の先頭に立つ。

 今季最多となった3万1969人のファンの前で無抵抗なまま終わるわけにはいかなかった。そんな選手全体の思いを、ニックは4打席目でぶつけた。

 お膳立てはできていた。8回に代打前田智が一塁強襲の内野安打を放って2死一、三塁。ニックは摂津の高めに浮いたシンカーを引っ張った。三塁手のグラブの下を抜ける打球を見て、大きな体を揺らして走る。チーム今季10度目の完封負けの危機から救う左前適時打だった。

 相手の3本の本塁打を見せつけられてストレスのたまっていたカープ党が喜びを爆発させた。得点したときの応援コール「宮島さん」をようやく大合唱できた瞬間だった。

 「打てるような球がなかなか来なかった。最後の打席は、そんなに甘い球ではなかったけど、うまく打つことができたよ」

 決して体調は万全ではない。降り続く雨の中で行われた8日ソフトバンク戦。7回の打席ではバットを振ったときに違和感を覚えた。右太もも裏がつったことで大事を取って途中交代を余儀なくされた。

 それでも翌日の練習を普段通りにこなした。キャッチボールではナックルを投げるなど余裕も見せ「全然大丈夫。足がつったのは水分不足だったから」と説明した。一時は助っ人をスタメンから外すことも考えていた野村監督は「ニックが問題なくできてひと安心。大きなケガにならずによかった」と胸をなで下ろしていた。

 この日も得点圏で一打が出なかったり、けん制死があるなど、攻撃陣はふがいない一面を見せた。相手と同じ10安打しながらも、勝ちにつなげられない。栗原が長期離脱する中、体を張って奮闘する大砲に休んでいる暇はない。【中牟田康】