<阪神1-2ソフトバンク>◇10日◇甲子園
ミスター代役が「救い投げ」を決めた。ソフトバンク大場翔太投手(26)が6回1安打無失点、9奪三振の快投で今季初勝利を挙げた。岩崎の代役として今季初先発し、期待に応えた。昨季も代役を中心に7勝をマーク。窮地に白星をもたらす右腕の活躍で、チームは6月初の連勝を飾った。
憧れの舞台・甲子園で、大場は大声援とため息の二重奏をもたらした。「攻めの気持ちで1回から飛ばしました」。課題の1回を好守に助けられ3人で脱すると、腕を振ることに専念した。少々コースが狂っても、クイックが苦手でも、威力ある直球で補った。
2回1死から5者連続三振で阪神打線をなぎ倒した。5回、ブラゼルに初安打されたが、その後は4者連続三振。ヤマ場も迷わなかった。6回2死。金本と3度目の勝負。鳥谷に二盗を許し、カウントは1-1。マウンドに駆け寄った細川に「直球が走っていたので、最後は自信のある直球で」と伝えた。2-2から97球目。内角低め直球で二飛に打ち取った。6回1安打無失点。今季初先発で、きっちり役目を果たした。
「いい投球をしていないのに先発させてもらって、期待に応えたかった。投げられなかった時の気持ちで攻めようと思いました」
キャンプで右肩の痛みを訴え調整が遅れた。開幕は2軍。5月下旬の1軍昇格後はリリーフで3試合登板したが、ここ4試合で3敗の岩崎を中継ぎでリフレッシュさせることになり、先発チャンスが巡ってきた。
秋山監督は「経験があるからな」と代役起用を即決。昨季もロング救援や代役先発などで6連勝を含む7勝。8月に月間MVPに選ばれた「ミスター代役」がまたも快投した。登板前に「生きざまを見せます」と周囲に語っていた通り、気合の入った投球だった。
08年1月の入団会見で口にした夢もかなった。金本との対戦だ。「ケガをしても試合に出る、魂の塊のような人。そんな人と対戦する機会があれば、最後は高めの直球で空振り三振に…」。舞台も甲子園を思い描いていた。三振こそ奪えなかったが、得点圏に走者を置いた2度の打席で憧れの人に快音を許さなかった。
球場入りの際、駐車場に止められた車とパイロンでバスの進路をふさがれた。途中下車させられた“妨害”に秋山監督は「心理作戦をかけられてるな」とちょっぴり不機嫌だったが、お助けマンの快投で吹き飛んだ。「腕が振れていたね。的を絞らせなかった。十分、十分。1安打だろ、1安打。今日は大場だよ」。11試合未勝利の後、6月初の連勝。交流戦連覇は消えても、もっと大きな目標がある。大場が救世主になる。【押谷謙爾】



