<巨人1-2ロッテ>◇10日◇東京ドーム

 ロッテ成瀬善久投手(26)が大胆かつ繊細な投球で巨人との交流戦首位攻防戦を先勝した。過去、狭い東京ドームでの2度の対戦で5被弾。相性の悪さを感じていたが「初球から勝負球のつもりで四球を出さない」と全神経を集中させて積極的な投球を展開した。一方で9回2死一塁の坂本の場面では「1発だけは避ける。1点は仕方ない」と割り切って外角低めを突いた。結果、1失点したが無四球完投勝利を収めた。今季、巨人から2勝を挙げた初めての投手。Gキラー成瀬が、交流戦逆転Vへの道を切り開いた。

 成瀬は大局を読んでいた。2点リードの9回2死一塁、打者は坂本。完封まであと1人だったが、先を読んだ。「坂本には嫌な雰囲気がある。ここでアウトを取るのではなく、1点を取られてもいいから、1発だけを避ける」。ここ東京ドームで巨人との2度の対戦で5本のアーチを食らっていた。そのうちの1本が坂本。だからリスク回避で外角低めを2球、続けた。

 結果、右中間へ適時二塁打を放たれた。だが覚悟していたからこそ、尾も引かない。村田に集中を切り替える。外角低めへのボール球のチェンジアップを振らせて投ゴロで締めた。「完封が一番いい。でも最後まで投げきる方が大事」。勝たなければ意味がない。エースは大胆であることの重要性を分かっていた。

 本来は繊細な投手だ。試合前のブルペン投球は必ず22球。「(正捕手)里崎さんの背番号にかけて」という思いも込める。だが球種、コースを決められた順番に投げ分け、きっちり収まるのが22球だったことが最初のきっかけだ。試合でも理想の投球を追うあまり「ベースの四隅ばかり狙った」。だから3球種しかない制球のいい左腕は的が絞られやすく、2年連続パ・リーグ被弾王と不名誉な称号も与えられてしまった。

 だが昨季終盤に6戦連続未勝利に終わり、思い直した。「負けている時こそアバウトに、大胆に攻めないといけない。打者は3割しか打てないわけだから」と発想を切り替えた。この“転換”が今年の投球の源になっている。

 狭い東京ドームだからこそ感じた。大胆かつ繊細に-。「四球を出すと、東京ドームだと本塁打が出やすい環境になる」。四球後、投手はストライクを自然と欲す。それは長距離打者の格好のえじきだ。「初球から勝負球」。早仕掛けの巨人打線を紙一重でかわし、打者31人に対し3ボールは3度だけの無四球。117球は多くはないが「初球の入り方に神経を使ったから、球数以上の疲れを感じた」と疲労度は色濃かった。

 逆転で3度目の交流戦Vへ向けて重要な一戦だった。「今日負けていたら、ほぼ厳しかったと思う。チャンスはある」。巨人を2度倒しての自身6連勝で、エースの風格を漂わせた。【広重竜太郎】

 ▼成瀬が巨人に今季2連勝。このカードでは10年から通算4連勝となった。パ・リーグの投手で巨人戦4連勝以上は05~07年小林宏(ロッテ。5連勝)08~10年杉内(ソフトバンク。4連勝)08~11年ホールトン(ソフトバンク。4連勝)に次ぎ4人目。