<阪神1ー0ソフトバンク>◇11日◇甲子園
最終回を締めくくるのはやはり、この男だ。スコア1-0でも、阪神藤川球児投手(31)は動じない。最後はカブレラを151キロ速球で空振り三振に仕留め、今季12セーブ目。甲子園通算99セーブ目を挙げた。米大レンジャーズのジム・コルボーン環太平洋スカウト部長が視察する前で圧巻の投球。守護神・球児には、仁王立ちがよく似合う。
心臓が飛び出そうな局面でも落ち着き払っていた。スコアは1-0。それも、8回裏にようやく奪った先制点だ。失敗は許されない9回。1死後、代打松中を四球で歩かせたが、内川をツーシーム系も駆使して中飛に抑える。1発のあるカブレラと向き合い、打ち気を見透かしていた。
初球、150キロ直球で空振りを奪う。岡崎に3度、首を振った2球目はフォークでタイミングを外して空振り。最後は151キロを豪快に投げ込み、鮮やかに空を切らせた。「四球がもったいなかった。ツーシームが効きました」。重圧を感じながらも強力打線を封じ、今季12セーブ目。甲子園で通算99セーブ目を挙げ、同一球場では史上3人目(過去にヤクルト高津、中日岩瀬)の100Sに王手をかけた。
先発岩田の力投をブルペンのモニターで見届け、心は熱くなった。「課題である、我慢することを実践してくれた。岩田にとって、良かった」。昨季、先発で好投しても白星に恵まれない岩田に助言したことがある。ともすれば焦って空回りしかねない投手心理を察していた。「お前の投球、悪くないからな」。悩める左腕の心を救うシンプルなひと言だった。岩田も「あれで心がすっと楽になりましたね」と感謝する。そんな後輩は苦しみながらも復調し、目の前で快投。リリーフエース冥利(みょうり)に尽きるマウンドで、燃えないはずがなかった。
藤川の剛腕ぶりに心を奪われた男もいる。この日も米大レンジャーズのジム・コルボーン環太平洋スカウト部長が視察。8日オリックス戦から連日、足を運ぶ熱の入れようだ。「今日はフォークで3、4球、素晴らしい球があったね。素晴らしい投手。アジャストしていかないといけない面もあるけど、彼は彼だ!
もし米国に来るなら、彼のスタイルのまま米国に連れて行くよ」。4月に海外FA権を取得し、注目にたがわぬ投球を見せた。
いまは悲願の日本一に向けて、1球1戦に集中して戦う。この日の試合前はいつものスタッフではなく、投球動作で試行錯誤する鶴とキャッチボール。後輩を思い、チームを救う。頼もしい守護神には仁王立ちが似合う。【酒井俊作】
▼藤川が甲子園で99セーブ目を記録した。藤川は05年9月9日、同球場での広島戦でプロ初セーブをマーク。なお過去に同一球場で100セーブ以上を記録している投手は、中日岩瀬(ナゴヤドームで163セーブ)、ヤクルト高津(神宮で118セーブ)の2人。



