<日本ハム3-3楽天>◇5日◇札幌ドーム

 佑ちゃん不在の間に、負けじと猛アピールだ。日本ハムの中村勝投手(20)が今季初先発し、5回1/3を3安打2失点。5回までは1安打無失点で、楽天田中将大投手(23)相手に、互角どころか押し気味の投球を見せた。8回に救援陣がつかまり2年ぶりの白星はならなかったが、チームは今季8度目の引き分けで首位をキープ。新たな力の台頭で、先発ローテ争いが一気に熱を帯びてきた。

 今季初マウンドで堂々と先発ローテ争いに名乗りを上げた。2軍で再調整中の日本ハム斎藤に代わって、この日の先発に抜てきされた3年目の中村が、猛アピールだ。リーグを代表する右腕、楽天田中と互角に投げ合うどころか、5回までは1安打無失点。「思ったより緊張していたけど、回を追うごとに落ち着いて投げられた」。ポーカーフェースを崩し、少しだけ笑みを見せた。

 140キロ前後の直球をベースに、2種のカーブやスライダーを織り交ぜた。味方打線に3点のリードをもらったが、6回、2本の安打で1死一、二塁とされたところで無念の降板。「疲れはなかったけどリズムが崩れてしまった。(途中降板は)心残りです」。後を受けた森内が塁上の走者をすべてかえし、8回には4人目の増井が追い付かれたため、中村にとって2年ぶりの白星はお預けになったが、収穫の多い66球だった。

 春日部共栄高時代は“埼玉のダル”と呼ばれた逸材だ。年明けの自主トレでは、その前エース、ダルビッシュ(レンジャーズ)に弟子入り。先月行われたフレッシュオールスターで2回5奪三振と快投を見せて、チャンスをつかんだ。

 1度出場選手登録を外れ、次回登板の機会を待つ。開幕投手を務めた斎藤の不調で、先発ローテが確約されているのは武田勝と吉川、ウルフの3人だけ。期待の20歳が見せたパフォーマンスに、栗山監督は「合格点。相手をやっつけようという姿勢を感じた」と、大きな可能性を感じた様子。夏場に入り、先発ローテ争いが、がぜん激しさを増してきた。【中島宙恵】