<日本ハム7-1オリックス>◇23日◇札幌ドーム
乱闘寸前の騒ぎもなんのその!
日本ハムのブライアン・ウルフ投手(31)が、9回を3安打1失点に抑え、来日3年目で初完投勝利をマークした。5回に1死からバルディリスに死球を与えたのを機に、2度も一触即発ムードが漂ったが、本人は冷静な投球に終始。初完封がかかった9回にこそ失点したが、自己最多の9奪三振で7勝目を挙げた。
ケンカを売られても、ウルフの名前とは真逆に草食系だった。5回1死。バルディリスを内角ツーシームでえぐると突如、札幌ドームのボルテージが沸点に達した。死球に激高したベネズエラ出身のラテン系助っ人を、軽々といなした。マウンドでは無表情。大仏のように固まり、嵐が過ぎるのをじっと待った。両軍の選手、ベンチが静止するのを見届けると、来日3年目で初の完投白星へギアを入れ直した。
乱闘寸前の一触即発の状況にも、冷静に93球の快投劇を完成させた。「野球っていうゲームの1つ。そこは仕方ない。もちろん、わざと当てていないから」。続く赤田の二ゴロで一塁走者のバルディリスが、二塁に入った金子誠へ向かってスライディング。うまくかわして事なきを得たが、併殺崩しにしては激し過ぎる危険プレーだった。
その直後、バルディリスが再び詰め寄り、またも緊迫。再沸騰した不穏ムードにも乗らずに、やり過ごした。栗山監督も「プロとして激しいスライディングと感情的なのは違う」と憤ったが、ウルフは泰然自若。9回に1点を失って完封は逃したが、来日初の完投勝利、5者連続を含む同最多9三振と奮闘した。正々堂々とプレーでは迫力十分のウルフの名前通り、剛腕で黙らせた。
そりあげた頭髪に、あごヒゲのこわもてとは対照的な温和な性格が生きた。有事で忍耐強さを発揮するタイプ。新幹線の発券ミスでグリーン車を予約できなかった時には190センチ、104キロの巨体を小さくしながら、仙台-東京間の約2時間を立ったまま移動した逸話もあるほど。「完封を逃したのはガッカリはした。でも、気持ち良く投げられたよ」。最後の最後まで、ウルフはほえなかった。【高山通史】



