昨季限りでオリックスを戦力外になった田口壮外野手(43)が、涙の引退宣言を行った。10日、東京都内で会見。オリックスで日本一、メジャーで世界一となった現役生活に正式に別れを告げた。今後はホリプロに所属し、解説者や野球教室などで野球界の発展に尽くすが、将来的に指導者になる夢も語った。
必死で涙をこらえた。田口は、会見の冒頭で「最初にスパッとお伝えしますが、引退します」と口にして沈黙した。あふれそうな涙に、わずかにあごを上げた。「20年と1年のちょっと」と表現した現役生活。リハビリに耐えて所属先を探した今季の浪人生活も、選手としての血肉になった。
昨年10月に右肩を手術して復帰を目指した。だが新規契約可能期限の7月31日までオファーはなし。公式ブログで「区切り」と表現して引退を決断。「思っているほど回復力もなくなっていた。考える時間がたくさんあって、次に何をやりたいとか、こういうことを考え出したら潮時だと思った」と振り返った。
日本での思い出に阪神大震災から立ち上がるシンボルになった95、96年のリーグ連覇を挙げた。同期入団のイチローについて「一番の思い出は車で休みの日にギョーザを食べて、カツ丼を食べて、野球の話をした」と話した。さらに「1、2番でどっちも早打ちだから、2球で2アウトとかあって、先輩に『野球、知ってんのか』と怒られた。『3番で何とかしてください』といったり。思い出はいっぱいある」と語った。
今後はテレビ解説などで野球の魅力を伝える。将来的な指導者については「こればかりはタイミング。野球に携わる中でそれもあると思います」と口にした。
「カージナルスをリリースされてから5年ぐらい引退ですか、引退ですか、と言われ続けた。体力的にも精神的にも大丈夫ですが、ふっと次のステップに進む時が来たと思ってしまった」。最後は笑って現役に別れを告げた。【益田一弘】
◆田口壮(たぐち・そう)1969年(昭44)7月2日、兵庫県生まれ。西宮北-関学大を経て、91年ドラフト1位で内野手としてオリックス入団。外野手に転向しイチローとともに95年リーグ優勝、96年日本一。02年からメジャー移籍しカージナルスとフィリーズで世界一。10年オリックスに復帰し、11年オフに戦力外。177センチ、77キロ。右投げ右打ち。



