大谷君、日本に残りなさい-。ヤクルトは27日、都内で納会を行い、元監督の野村克也氏(77)が、小川監督、選手、球団フロントら約100人に対して講演会を行った。終了後は、大リーグ挑戦を表明しながら、日本ハム入りが決定的な花巻東(岩手)大谷翔平投手(18)について言及。「まだ18歳でしょ。慌てることはない。しっかり日本で本物の野球を経験して、それからメジャーに行っても遅くはない」と、日本残留を強く希望した。

 背景には、サッカーなどに押され気味の野球人気低迷がある。「子どもたちを他のスポーツに取られることが心配ですよね。子どもたちは単純だから、みんなサッカーにいっちゃう。危機を感じている。テレビ局も、なんであんなにヨーロッパのサッカーを宣伝しないといけないのか」とぼやいた。

 だからこそ、大谷には未来の王、長嶋になる可能性があると信じている。野球人気回復の秘訣(ひけつ)は「スターだね」と即答。「今は全盛時代の王、長嶋に変わるのがいない。本当はイチローや松井がやらないといけないんだけど。やっぱりスターですよ。(大谷は)ああいう人は、何が何でもアメリカにやっちゃいけない」と言った。自身の監督復帰は「100%ない」と否定したが、来年2月のキャンプで再び講演を行う予定。球界の大先輩である77歳のボヤキは、遠く岩手にいる18歳の心に響くのだろうか。【前田祐輔】