藤浪はアキバ系?

 阪神の新人6選手が8日、兵庫・西宮市の鳴尾浜にある独身寮「虎風荘」に入寮した。ドラフト1位の大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手(18)は秘密兵器として、デスクトップ型のパソコンを持参。レンジャーズ・ダルビッシュや広島前田健、米大リーグ・タイガースのバーランダーら大物投手の投球映像を多数取り込んでいて、いつでも再生可能だ。寮の部屋でパソコンにかじりつき、投球フォームを研究し尽くす。

 入寮荷物の中に、ひときわ目立つ大画面。高校3冠(春夏甲子園、国体)右腕藤浪がプロでの拠点に持ち込んだのは、デスクトップ型のパソコンだ。「研究に使いたい。ぼくにとって今、必要なものだと思っています」。ゲームざんまいにネットサーフィン?

 いやいや、万能機器の使い道は、プロの世界で技を磨いていくためだった。

 藤浪PCには、日米の球界を代表する有名投手たちの投球映像が収められている。以前から憧れの存在と公言しているレンジャーズ・ダルビッシュや広島前田健、阪神からFAでカブスに移籍した藤川。そして大リーグで投手最高の栄誉とされるサイ・ヤング賞受賞経験のあるロジャー・クレメンスにジャスティン・バーランダー…。そうそうたる顔ぶれの映像が藤浪の教材だ。「プロの方のフォームというか、普段見ることのできない映像もあるので、体の使い方とか勉強になります」と目を輝かせる。

 パソコンに詰まった“お宝動画”は知人から昨年10月のドラフト前に譲り受けた。「映像があると教えていただいたのでよかったら、ぼくにもいただけたら」と働きかけて入手。ブルペンで投げている姿を真後ろから撮影したものや、至近距離で撮影した映像もある。

 しかもただ見るだけではない。藤浪パソコンには、お役立ちソフトも入っている。映像や画像に印を付けたり、線を引くこともできるもの。藤浪自身の投球映像も保存されていて、他の投手の映像と並べて見比べることもできるのだ。

 大阪桐蔭の寮は複数部屋。プロでいよいよ、1人部屋での生活が始まる。「リラックスすることも考える時間も大事。1人で過ごせる利点を生かし、1人の時間を有効に使いたい」と自覚たっぷり。パソコンにかじりつき研究に没頭する時間も大いに設けるつもりだ。

 10日には新人合同自主トレがスタートする。「しっかり練習してきたものを見せたい。1軍キャンプにこだわっているというわけではないですけど、やる限りはそこを目指したい」。4日から本格的に練習し、準備は万端。マウスをクリックしながらプロの世界に踏み出した。【山本大地】