巨人のドラフト2位、大累進内野手(22=道都大)が、陸上50メートル走の日本記録への挑戦を口にした。12日、川崎市内のジャイアンツ球場で3日目を迎えた新人合同自主トレに参加。大学時代の計測では50メートルを5秒7で走ったという大累は、2002年(平14)リービン国際室内陸上で、朝原宣治(大阪ガス)がマークした5秒75の日本記録(室内)を破ることに自信を見せた。

 「挑戦してみたいです」。大累は即座に言い切った。足には自信がある。50メートルの日本記録(室内)に挑戦する場所があれば、ぜひ走ってみたいという。プロフィルには「50メートル、5秒7」と堂々と記している。現在、日本記録(室内)は02年に朝原がマークした5秒75だが「知っています」と、調査済み。目標ははっきり見えている。

 巨人の選手が記録を樹立するようなことになれば快挙といえる。過去には、陸上の100メートル日本記録保持者だった飯島秀雄氏が69年にロッテに入団したことなどはあるが、現役野球選手が陸上の日本記録を打ち立てたことはない。

 期待を抱かせる事実がある。大累は5秒7を出した時のことをこう振り返った。「芝生の上でした。シューズもトレーニングシューズ。それでも5秒7、8、9ぐらいを記録していました。6秒を超えることはなかったですね」。朝原氏の記録は陸上スパイクを履いて、室内のトラックでのもの。大累の「5秒7」は誤差の多い手動計時だったとはいえ、芝生にトレーニングシューズ。好条件がそろえば、ドノバン・ベイリー(カナダ)の5秒56という世界記録(室内)も夢ではない、かもしれない。

 この日の新人合同自主トレでは3000メートル走を走り、13分ちょうどで7人中3位。日本記録(7分41秒87)からははるかに遅い記録に終わった。しかし、大累にとって勝負は短距離だ。「僕は打った後、動きの流れの中でとかの方が、速くスタートできるんで」。陸上のクラウチングスタイルからのスタートには不安もあるが、期待は大きい。

 自主トレを見守った白坂トレーニングコーチは「50メートル走とか、そういうハイパワー系のものは第3クールか、キャンプに入ってからになる」と、今すぐの挑戦にはストップをかけた。自主トレで体の準備が整い、公認記録となるための電気計時ができれば…。巨人の新人には菅野だけでなく、こんなワクワクさせる選手もいる。【竹内智信】

 ◆大累進(おおるい・すすむ)1990年(平2)8月31日、札幌市生まれ。札幌西岡小3年から西岡スターズで野球を始める。札幌新琴似シニアでは三塁手。駒大苫小牧高ではチームが2度甲子園出場もベンチ外だった。道都大では3年秋に首位打者。同年春、秋にベストナイン。175センチ、70キロ。右投げ右打ち。家族は両親、姉、兄。

 ◆日本記録の公認

 日本陸上競技連盟の主催する大会以外での記録は即座に認められない。日本陸上競技連盟競技運営委員会の競技部に、記録申請書、競技会のプログラム、当該種目の全記録、写真判定装置が使われた場合はその写真などを提出しなければならない。大累が日本陸上競技連盟の主催大会に出場することは現実的に不可能なため、そういう手続きを踏むことになる。