【グアム(米国)16日=高山通史】3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の山本浩二監督(66)が、主将の阿部慎之助捕手(33)ら巨人の代表候補6選手の自主トレを弾丸チェックした。当地入りした前夜にソフトバンクの松田と森福、この日は中日浅尾と他球団3候補とも対面。滞在2日で電光石火の9選手との顔合わせを完了した。重要視する「チームの和」づくりへ心血を注いだ。

 軽装のリゾートルックで、軽快にステップを刻んだ。山本監督が、天真らんまんな無邪気さでハートをわしづかみにした。阿部らの「監督、いきましょう」のリクエストに応じ、サーキットトレーニングのメニューに飛び入り参加した。「疲れ?

 全然や!

 頭と体が一致しないけどな」と強がったが、四苦八苦で同じメニューの一部を消化。目線を下げて接する姿に、緊張気味の侍たちに笑顔の輪が広がった。浩二流の人心掌握術で、巨人の候補6人と一体化した。

 大はしゃぎで、実りある弾丸視察になった。到着した前夜にはソフトバンク松田、森福へ連絡。わずかな時間だが会食した。この日は浅尾が巨人勢の自主トレ先へ電撃訪問し、2泊3日の滞在2日目で計9人の代表候補と対面。強行日程の中で礼を尽くし、コミュニケーションをとった。「少しでも会話をするのが目的やった」。阿部と浅尾には、名店「五代庵」の高級な紀州梅干し「夢想」も差し入れする気配りも見せ、重視する「和」をつくった。

 自身の戦闘態勢も、心身ともに整えた。阿部には「慎之助、赤いパンツつくってくれや」と、勝負パンツをおねだり。“ミスター赤パン”に変身するための土台も、ちゃっかり固めた。グアムは鏡子夫人と新婚旅行で訪れた思い出の地。当時は「ビーチには黒いデッカイなまこばかりいた。踏んで気持ち悪かったのを覚えているな」。巨人勢と真っ青な海が、世界一の野望へ向かう心もリセットしてくれた。

 大興奮の約2時間のチェックを完了。豊かなグアムのジャングルを見つめた。山本監督は姿を重ねるように「あんなところに横井庄一さんが、いたんやからな」とつぶやいた。日本の無条件降伏を知らずにサバイバル生活。約28年後、72年に発見された元日本兵の横井庄一さん(享年82)へと思いをはせた。激闘へと臨む兵力を確認し、今日17日に帰国する。侍ジャパンの総大将は「これで一安心したわ」とにんまりで、成功確信の行脚を終えた。