「男・村田」が凶器級の打球音をさく裂させる!

 WBC日本代表候補の巨人村田修一内野手(32)が宮崎キャンプの2日、屋外で初のフリー打撃練習を行い、チーム最多となる16本の柵越えをマークした。豪快な打球音は日刊スポーツの音量測定計によると最高で106デシベルを計測。チェーンソー並みのごう音で、パワー満点の打球を証明した。

 快音というより、ドスの利いた音だった。「グゥワ~ン!」。打球は重低音も帯びて、次々とスタンドへ運ばれた。合計210スイングでチーム最多となる16本の柵越え。手のひらとともに、両耳にも心地よい残音が響いていた。「そういう音も感じながら打っている。力強く振れていることだと思う」。昨年の移籍1年目の同時期とは違う、確かな手応えを聴覚でも感じていた。

 数値が実証していた。最高106デシベルを記録。阿部で104デシベル、坂本、長野で99デシベルだったが、コンスタントに100デシベルの“大台”を超えた。チェーンソーの爆音は110デシベルで、女子テニスのシャラポワがスイングと同時に発する絶叫が100デシベルと言われる。村田の打球が凶器的な音を帯びていることは、力が伝わっている証明でもある。

 昨年は確実性も志向したが、シーズン途中から横浜時代のようにグリップを高く構えた。「(スイングが下から上に)あおらなくなった。打球に角度がついているし、トップスピンもかかって高い内野フライを打てていた」。自主トレで98センチ、1300グラムの長尺バットでロングティーを繰り返し「うまく体に巻きつく」感覚を染みこませた。「肩周りとか腕周りを鍛えている。筋肉をつけるというより、30代になって下がらないように」と、近年あまり行わなかった筋トレも取り入れている。

 スモールベースボールで連覇を勝ち取ったWBC。だが日本人屈指の長距離打者の誇りも胸に秘めている。「(1発は)それが最大のチームプレー。一振りで1点ですからね。つないでいくケースもあるけど、振れる準備はしないといけない。状況に応じてですね」。15日から始まる代表候補合宿でも山本監督の耳に、破壊的な打球音を届ける。【広重竜太郎】

 ◆打球音の測定方法

 バックネット裏の最前列、中央に音量測定計を設置した。測定したい音までの距離を設定し、その近辺で発生する音の大きさを拾って測定できる。今回は、打球音に対し最も針の振れ幅が敏感だった20メートルに設定した。

 ◆バットと打球音

 木の材質によって音の大きさ、音色ともに異なる。大まかに分類して、音が大きい順でアッシュ、メープル、アオダモとなる。村田は、試合ではアオダモのバットを使い、練習ではメープルを使う。今回は、プロ野球選手が使う平均的なバットで驚異の数値をたたき出した。長年野球界に携わるメーカー担当者は「打球音の大きさと打者のパワー、スイングスピードは、基本的に比例する。加えて、ボールが当たったポイントが真芯に近いほど、反発音は出る」と解説。キャリアを積めば、打球音を聞いた瞬間に本塁打か否か分かるようになる。加えて、同じ材質の木でも原産国が違えば打球音で分かるという。