<ヤクルト2-0阪神>◇3月31日◇神宮

 虎が2度寝をしてしまった。開幕戦で抜群の目覚めを見せた打線が、2試合連続の完封負けだ。阪神和田豊監督(50)は悔しさを押し殺すように、速足で引き揚げた。2日前は歓声が届いたスタンドに目もくれない。肌寒い神宮の桜のように勢いは散った。初勝利をプレゼントするはずだった黄金ルーキー藤浪を、またもや見殺しにしてしまった。

 和田監督

 本人よりも周りが硬くなったね。打つ方も守る方も、逆に。ボール球を振らされている。相手も考えて、タイミングを外されていた。

 力みだけが目立った。緩急差勝負のヤクルト八木に、ポンポンと打ち上げた。3投手へのフライアウトは実に18個。2月24日の練習試合(浦添)では7点を奪って1回KOした左腕に、プロ2勝目を献上した。水谷チーフ打撃コーチも「(八木は)そんなに速くないのにな…。点が取れないと、どうしても硬くなる」と首をひねるしかなった。

 金の卵を勝たせたい。その気持ちが逆効果になっている。これで藤浪が投げた対外試合5試合23イニングではわずか2点しか取っていないことになる。無援がまた焦りを生み、さらに硬くなる悪循環。6回1死一、二塁で三振した福留は、わびるしかなかった。

 福留

 せっかく頑張っていたから、何とか勝たせてあげたかった。俺らの責任。俺らが悪い。何とかしないといけないっていうのがあるのかな…。

 開幕戦の猛攻撃が一変し、19イニング連続無得点。和田監督は「まだ始まったばかりやないか!

 これから、これから」と必死に前を向いた。坂井オーナーが13年シーズンへ掲げた文字は「起」だった。目が覚める、奮い立つ、そして巳(み)年に走るという思い。明日2日は京セラドーム大阪でホーム開幕戦。猛虎打線も、そろそろ起きましょうか。【近間康隆】

 ▼阪神が開幕カード3連戦を1勝2敗は、09年ヤクルト戦(京セラドーム大阪)以来4年ぶり。今年と同じく○●●だった。また2試合連続完封負けは12年5月3日中日戦(ナゴヤドーム)、4日巨人戦(甲子園)以来だが、開幕カードに限ると88年4月8、9日の広島戦(広島)以来、25年ぶり。