<ソフトバンク7-6オリックス>◇11日◇ヤフオクドーム

 消した、飛ばした。ソフトバンクが松田宣浩内野手(29)の延長11回サヨナラソロ本塁打で連敗を3で止めた。2戦連続で4番に入り、5回の2点適時二塁打と合わせて3打点。亜大の後輩、東浜巨投手(22)のデビュー黒星を打線全体で消し飛ばし、4時間43分の今季最長ゲームを制した。それでもまだ最下位で借金4。新4番よ、頼む。

 バットを握ったままでの“鑑賞会”は打球が左翼ポールをたたいて終了。拳を突き上げ、松田が元気に駆けだした。「打った瞬間、入ると思った。切れない感覚はあった」。11回1死。自身2本目、延長では初のサヨナラアーチ。5点ビハインドからの大逆襲劇を鮮やかに締めた。

 9回無死一、二塁のサヨナラ機もベンチから「決めてこい」と送り出されたが、進塁打に終わった。再び巡ってきたチャンスは見逃さない。左腕中山の内角直球を完璧に仕留めた。

 特別な思いもあった。先発マウンドは亜大の後輩の東浜。4回途中6失点でKOされ、黒星が濃厚だった。「後輩だし、負けをつけたくないと思って頑張りました」。5回には左翼フェンス上部をたたく、2点適時二塁打でオリックスを追撃。秋山監督が本塁打判定を求めるほど際どい打球だった。最後は万人がそれと分かる一撃で決め、3打点の活躍だった。

 2日からの西武3連戦遠征で、亜大野球部が行きつけの焼き鳥屋に2人で顔を出すつもりだった。ところが、東浜が先発ローテから脱落。松田は1人寂しく、ノンアルコールでテーブル席に着いた。「大丈夫ですよ、シーズンは長いし、そのうち来るでしょ」。デビューマウンドで炎上した後輩をバットで助けてみせた。

 連敗を3で止めたが、打線は本調子でない。まだ4勝。開幕から12試合でオーダーは11通り。首脳陣の苦労が続く中、松田は2戦連続で4番起用された。試合前、肉離れでリハビリ中の松中にロッカーでひと言をもらった。「4番目の打者だからと言われ、ホッとした」。秋山監督は「延長12回までいかなくてよかった」と安堵(あんど)。雨のち晴れのサヨナラ劇から、鷹が力強く浮上する。【押谷謙爾】

 ▼松田のサヨナラ本塁打は、11年4月17日西武戦(福岡ヤフードーム)でシコースキーから放って以来、2年ぶり2本目。4番での本塁打は11年9月27日の日本ハム戦(福岡ヤフードーム)10月13日の日本ハム戦(札幌ドーム)以来、2年ぶり3本目。