<ソフトバンク7-6西武>◇28日◇ヤフオクドーム

 試合が終わっても、ベンチから離れず、西武渡辺久信監督(48)はグラウンドをジッと見つめた。目の前の光景をしっかりと焼きつけ、ベンチ裏に引き返した指揮官は、努めて冷静に言葉を並べた。「結果が全て。後ろ(救援陣)で逃げ切って、勝たなくちゃいけない試合だった。振り返っても仕方ない。また、明日から勝ちにこだわってやっていく」と手短に会見を締めた。

 ミスから流れを失った。3点リードの8回無死一塁、ウィリアムスが投ゴロを二塁に悪送球。併殺かと思われたところからピンチを広げ、2死満塁から2点適時打を浴びた。8回途中から守護神のサファテを投入するも、9回に痛恨の同点打。延長10回には大石が2死からの連打でサヨナラ負けを許した。先制、中押し、ダメ押しと完全に西武ペースだったが、手痛いミスで全てが吹き飛んだ。

 勝てば3位浮上だったが、数字の上では1歩後退した。それでも、残り8試合で、3位ソフトバンクとは2ゲーム差。直接対決は残り2試合で、2勝9敗1分けと鬼門だった敵地ではなく、本拠地西武ドームで迎える。今後の対戦相手を見れば、8試合中、7試合が3位以上のチームとの対戦だが、楽天、ロッテには勝ち越し。試合数もソフトバンクより2試合多く、逆転CSの望みは十分にある。

 渡辺監督は27日、福岡入りする前の羽田空港で「この時期にしびれる試合ができるのは幸せ。もうガチンコよ。やるか、やられるかなんだから」と闘志を燃えたぎらせた。この時期での1敗の重みを感じながらも、試合後、主将の栗山は言葉に力を込めた。「残り8試合でしょ。前を向いてやるしかないんやから」。逆転でのCS進出へ、とにかく前に進む。【久保賢吾】