楽天立花陽三球団社長(42)は3日、ポスティングシステム(入札制度)の新制度について、落札額の決定方法が“フェア”なものとなるよう求めた。大前提として、田中将大投手(25)のメジャー挑戦を容認する姿勢は変わらないが、新制度が納得いかないものとなれば、球団として入札を申請しない可能性も言及した。日本野球機構(NPB)はこの日、都内で臨時の12球団代表者会議を行い、米大リーグ機構(MLB)との間で難航している新制度について対応を協議。楽天を除く11球団がMLBが提示した上限を設ける案を受け入れる方針を確認した。

 代表者会議直後は明言を避けた立花球団社長だが、その後、口を開いた。最初に強調したのは「球団としては、田中を海外に挑戦させたい気持ちはある」ということ。先月26日には、三木谷オーナーも「個人的には、若い人が挑戦するのは良いことだと思う」と発言。その発言を受けて、実務面で球団経営トップの同社長も球団の姿勢を明確にした。

 ただし、譲れない点があるという。「決まり方(新ポスティングシステム)が納得いくものでないと、なぜ、エースを出すのか、ファンに説明できない。決まり方によっては、出さないこともある。我々は、ファンやステークホルダー(スポンサーなどの利害関係者)に説明責任がある」と明言。新システムによっては、ポスティング申請をしない可能性を口にした。

 同社長が問題視するのは、落札額の決定方法についてだ。「田中の価値がフェアに判断されるものにしてほしい」と言った。MLBは、入札額に約20億円の上限を設けることを求めている。同社長は、具体的な金額には触れずに「額の多い、少ないではない。上限があってもいい。ただ、なぜ、その上限額になるのか、(ファンやスポンサーに)説明責任を果たせる制度でないといけない」という球団の立場を繰り返した。

 楽天を除く11球団は、MLBの上限案を受け入れる方針だ。現状では孤立した形となっても、同社長は主張を変えなかった。田中をポスティング申請しない選択肢にも言及。田中本人が態度を明確にしていない中での球団トップの発言は、今後に少なからず影響する可能性がある。