<巨人12-4阪神>◇28日◇東京ドーム

 晴れのち嵐だ。阪神が見事に引き立て役を演じてしまった。10年ぶりの開幕「伝統の一戦」で惨敗し、東京ドームを出た和田監督へ耳の痛い言葉が突き刺さった。「和田辞めろ!」。試合前から宿敵のメモリアルセレモニーたっぷり。4点先制劇も、終わってみればG党のバンザイしか残らなかった。ストレスたっぷりの幕開けに、虎党の怒りがいきなり爆発した。

 和田監督

 ちょっと警戒したというか、四球がね。重圧もあったのかな。能見に託したからね。

 指揮官が首をひねったのは「エースに託した」と送り出した能見篤史投手(34)だった。序盤から制球が定まらず、ボールが先行。破綻したのは4点をもらった直後の3回だった。高めに浮いたところを痛打され、そこから3イニング連続で2死から失点。「エース」らしからぬ姿でプロ入り最多、球団の開幕投手としてもワーストの10失点した。

 能見

 結果として受け止めないと。やることはやっていたけど、ボールが高かった。これだけ打たれたのだから、切り替えて、次に生かさないと。

 決戦4時間前。都内の宿舎で行われた出陣式では和田監督のゲキが飛んだ。

 「秋季キャンプから心技体のスタミナを強化してきた。技術、体力だけでなく、諦めない心を持つこと。ダメやという試合もあるだろうけど、諦めずに粘り強く、みんなの気持ちを1つにして戦おう。巨人を倒して優勝しよう!」

 ジャンプ葛西のように「諦めない」ことを強調した。昼食では、タイや赤飯、カツの縁起ものがズラリ。それが、いきなり「諦めない」ことが難しい試合で始まった。能見は予定通り、当面は中5日で回していく。「ヒットの出ていない選手も内容は悪くなかった。何とか形になっていたというか、これなら点を取れるという手応えは感じられた」。厳しい船出も、虎将は前だけを見ていた。【近間康隆】

 ▼阪神能見が10失点(自責点10)。開幕投手の10失点は、46年4月27日に石川光彦(ゴールドスター)が中部日本戦で9回完投、失点10(自責点2)を記録して以来、68年ぶり2度目のプロ野球ワーストタイ。阪神の開幕投手では、81年小林繁の8失点が最多だった。

 ▼阪神投手が4被本塁打。開幕戦では、80年4月5日広島戦(広島)の7被本塁打(ライトル2、三村、水谷、池谷、衣笠、デュプリー)に次ぎ、2リーグ分立後ワースト2位。