<DeNA3-2ヤクルト>◇11日◇横浜

 勢いは本物!?

 DeNAが今季初のサヨナラ勝ちで、2度目の4連勝。延長10回2死満塁、この日昇格したばかりの井手正太郎外野手(30)の右翼線を破る一打で決着をつけた。中畑清監督(60)の選手起用もピタリとはまったが、そこには迷いを断って貫いた采配があった。

 決意の表れだった。黒のポロシャツに黒のパンツ。中畑監督は、黒ずくめの服装で球場入りした。普段は明るい色を選ぶことが多いが、これは“俺は何色にも染まらない”という、己を貫く決意の表れだった。

 監督就任以来、「本当に難しい」と繰り返してきた継投のタイミング。4月2日巨人戦では、継投判断を誤り、5点リードの8回に10失点し逆転負け。大きな転機になった。「正直、後悔はある。俺はもう迷わないことに決めた。俺を貫く」。この覚悟を託したのが、長田、ソーサ、三上の「勝利の方程式」。全て2点差以内での4連勝を支えている。この日は同点の9回に抑えの三上から投入し、延長は長田につなぐ逆パターン。「勝ちゲームの空気をつくる信頼できる順番」と、迷いはなかった。

 殊勲の井手も先発起用に迷いはなかった。1軍昇格即、6番を任せたが、「打撃で勢いをつけてくれると思った。調子のいい時はどんどん使ってやりたい」。その言葉通り、8回2死一、二塁の勝ち越し機で「全く代えようと思わなかった」と代打は送らず。結果は併殺打だったが、10回のサヨナラ打につながった。

 迷わない姿勢は、思わぬ波及効果も生み出した。途中出場で、7回に反撃の口火となる適時打を放った2年目白崎は言う。「(終盤の継投が固まっても)抑えてくれるはず、と安心しきったら逆効果になる。チャンスをつくる、チャンスをつなげる準備に集中しています」。信頼を得ていかなければいけない立場の若手には、準備への意識を高めることにつながっている。

 どこまで迷わず戦えるか。中畑監督の姿勢が、反攻のカギになる。【佐竹実】