<西武3-1日本ハム>◇15日◇西武ドーム

 清原&松井級のルーキーだ!

 西武森友哉捕手(19)が、2戦連発となる2号ソロを放った。初のスタメン指名打者で6番を託された日本ハム14回戦の第1打席、右中間スタンドへ放り込んだ。前日14日の代打アーチから続く2打席連発は、高卒新人では93年松井秀喜(巨人)以来、パ・リーグでは86年清原和博(西武)以来。森の1発が、チームの連敗を3で止める決勝打にもなった。

 眺めは最高だった。初めて立った本拠地のお立ち台。森は「ばっちりでした。狙ったわけではないですけど、振り切ったら入ってくれてよかったです」。2回1死、カウント1-2から高めの145キロ直球を振り抜いて2号ソロ。先制、そして決勝の一打に胸を張った。

 任された役割をしっかり自覚していた。疲労を考慮された中村に代わって託されたDH。初めてのポジションに「中村さんの代わりが自分に務まるのか不安もあった」と正直に明かした。それでも「自分が活躍するつもりで打席に立ちました」と、強い決意で振り払った。試合前には「スタメンで使っていただけるので、絶対に打たないといけない」と示した覚悟。有言実行で大役を全うした。

 清原、松井という球史に残る強打者に並ぶ高卒新人での2打席連発。報道陣から記録を知らされると「(2人は)全然上ですし、自分はまぐれですから。でも今日打てたことはプラスにしたい」。まだまだ未完成だからこそ、「打てるキャッチャーになりたいんです。いずれは捕手で守りたい」とファンの前で誓いを立てた。理想の選手像は巨人阿部。その目標の人から2月の2軍キャンプ中に届いたバットとミットは、大事に保管している。背番号は同じ「10」。「目指していきたい」という短い言葉は、力強かった。

 打撃も言動もルーキー離れした男だが、初々しい一面もある。前夜は家族や高校時代のチームメートから祝福メールがたくさん届いたが「全部読んだんですけど、返しきれなくて」と苦笑い。この日も試合後、野上からウイニングボールを手渡され「何のボールなんですかね?

 ウイニングボール?

 どうしましょう?」とおどけた。

 目指すところはまだ先にある。田辺監督代行は「並のルーキーじゃないね」とたたえながらも「(清原、松井という)そうそうたる名前の中に入ったわけだけど、これからだから。しっかりやってほしい」とげきを忘れなかった。

 森は、お立ち台の最後をこう締めた。「初めまして。森です!

 またここに立てるように頑張ります!」。自覚があるから慢心はない。ただ者ではないルーキーの名が、しっかりと西武ファンの胸に刻まれた夜になった。【佐竹実】

 ▼森が前日のプロ1号に続いて、第1打席で本塁打。高卒新人の2試合連続本塁打は13年7月10、14日大谷(日本ハム)以来だが、森は2打席連発。高卒新人の2打席連続本塁打は93年8月31日松井(巨人)が横浜戦で記録して以来、21年ぶり。パ・リーグの高卒新人では86年清原(西武)が7月13日近鉄戦、9月6日近鉄戦と2度記録して以来になる。今回のようにプロ1号、2号と2打席連続で記録した高卒新人は、71年10月9日島本(南海)以来、43年ぶりだ。1年目に11本の松井、31本の清原も連続試合本塁打は2試合止まり。高卒新人の3試合連続本塁打は68年江島(中日)が最後だが、森は次の試合でも打てるか。