キャンプ地の子供たちにも鉄人の誓い!

 阪神鳥谷敬内野手(33)がキャンプ休日の5日、沖縄・南風原町の沖縄県立南部医療センター・こども医療センターを訪問し、小児病棟の交流会に参加した。病気と闘う子どもたちがいつ甲子園観戦に訪れてもいいように、休まず試合に出続けることを宣言した。

 宿舎の部屋で海を眺めることだけが静養ではない。鳥谷はエネルギーを充電するように、みるみる笑顔になっていった。キャンプ初の休日は車で約1時間をかけ、病院の小児病棟を訪問。交流会に参加した後、優しい笑みを浮かべたまま「鉄人宣言」した。

 「子どもたちにはぜひ球場まで応援に来てほしい。甲子園の雰囲気を味わってもらいたい。いつでも来てもらうためにも、自分は常にグラウンドに立ってプレーしていないといけない」

 例年は沖縄自主トレ中にロッテ井口らと同病院を訪れる。今年は諸事情で訪問のタイミングが合わず、キャンプ中の交流会開催となった。入院中の0歳児から高校生まで十数人の子ども、親が参加。キャンプの疲れを一切感じさせず、児童たちと丁寧に触れ合った。

 会の冒頭で女の子からアニメ「妖怪ウォッチ」のキャラクター「ジバニャン」をモチーフにした手作りメダルを手渡されると「うわっ、妖怪ウォッチだ!」と満面の笑み。サイン会や写真撮影を終えると、3つの階をまたいで小児病棟を回った。優しく1人1人に声をかける姿に、思わず涙する母親もいた。2時間近くをかけた交流。鳥谷から柔らかな笑みが途切れることはなかった。

 2日前。元祖鉄人の元広島衣笠祥雄氏が阪神沖縄・宜野座キャンプを訪問。「チームの顔は毎日試合に出なければならない」と力説した。現役最長で歴代3位となる1466試合連続試合出場中の鳥谷は「頑張ります!」と記録更新に向けて意気込んだ。連続出場にこだわる理由は、はっきりしている。

 「その試合しか見に来られない子供もいるから」

 歴代2位金本の1766試合は今季から3シーズン、1位衣笠の2215試合は6シーズン目に記録がかかる。数字だけのために、試合に出続けるわけではない。「自分にも子どもがいるんでね」。鳥谷自身も家に帰れば子ども4人のパパ。全国各地の虎党少年たちのためにも、まだ「鉄人」という肩書を下ろすつもりはない。【佐井陽介】