<福岡6大学野球:九共大10-0九工大>◇第1週初日◇8日◇福工大グラウンド◇1回戦

 来年ドラフトの目玉、九共大の大瀬良大地投手(3年=長崎日大)が実力を見せつけた。福岡6大学が開幕。大瀬良は開幕戦となった九工大戦で、5回参考ながら完全試合をマークした。最速152キロ右腕の快投もあり、4連覇を狙う九共大は5回コールドで白星発進を決めた。

 九共大のエース大瀬良が、3年秋にさらなる成長を見せた。5回を完全投球で開幕戦勝利。「参考でも、完全はないですね。人生初です。すごくいい形でスタートが切れた」と目を細めた。

 試合開始から雨が降り続いた。マウンドがぬかるむ中、7、8割で制球を重視し、テンポよく投げ込んだ。この日の最速は145キロに抑えたものの、手元で伸びていた。縦に落ちるスライダーを決め球に三振7、内野ゴロ5、外野フライ3。わずか60球で九工大の打者15人を料理した。

 長崎日大3年の夏、甲子園で花巻東の菊池雄星(現西武)と投げ合い、一躍、有名になった。九共大では3季連続MVPを獲得した。今春は7戦7勝だったが、全日本大学野球準決勝で早大に競り負け「実力不足を痛感した」と、夏に心身を鍛え直した。

 どんぶり2杯に夜食を詰め込み、春よりも3キロ増量して体重89キロになった。8月初旬のオープン戦で自己最速を1キロ更新する152キロを計測した。同じく8月に社会人と合同のアジア選手権日本代表一次候補合宿にも参加。明大の岡大海(3年=倉敷商)から試合前のアップ方法を学び、この日もさっそく取り入れた。

 秋の神宮切符は、九州で1枚しかない。大瀬良は「春に日本一を逃したので、日本一へ向け、投げる試合は勝つことをテーマにしたい」と力強く宣言した。この日、ネット裏ではソフトバンク、日本ハム、巨人、DeNAのスカウトが熱視線を送った。さらなる飛躍を-。大瀬良の実りの秋が開幕した。【石橋隆雄】

 ◆大瀬良大地(おおせら・だいち)1991年(平3)6月17日、長崎市生まれ。国分西小4年の時「国分西野球スポーツ少年団」で野球を始め、小5から投手。国分南中では投手と内野手。長崎日大では2年秋からエースとなり、3年夏に甲子園出場。1回戦で花巻東・菊池雄星(西武)と投げ合い、5-8で敗退した。九共大では1年春に新人賞。ベストナイン3度。11年春から3季連続MVP。昨年7月、日米大学野球の日本代表に選出された。今年は6月に大学日本代表合宿、8月は社会人との合同のアジア選手権代表候補合宿に参加した。186センチ、89キロ。右投げ右打ち。