カリスマ塾長が東大を復活させる。東京6大学リーグの東大は21日、文京区内の同大で練習納めを行い、11月に就任した浜田一志監督(48)は「春1勝、秋4勝で年間5勝」と来年の目標を掲げた。東京・東久留米で塾を経営し、ブログで「カリスマ塾長」を名乗る元4番打者。数々の受験生を合格に導いた手法を野球に転用し、94年秋以来のシーズン4勝、04年以来の年間5勝を狙う。

 浜田監督の声が人工芝を張り替えた東大球場に響く。「もっと鼓舞しろ!」。2人1組で行うトス打撃。言葉を掛けるのはトスを上げる選手に対してだ。「練習をやらせる方が重要。勉強も何かを教えるより、勉強の仕方を教えることが大切」。技術指導は特別コーチの元中日の谷沢健一氏、元横浜、西武の今久留主成幸氏に任せ、集中力を高める練習法を伝授する。

 野球部内に08年、選手勧誘の事務局を立ち上げた。進学校の高校3年生を集め、毎日15時間勉強する2週間の合宿を開催。主力に成長した関昌嗣投手(3年=半田)はその時の教え子だ。

 今は数学ではなく、監督として勝利への解法テクニックを教え込む。黒沢俊哉主将(3年=渋谷幕張)は「監督がきて雰囲気が変わった」と心酔。10年秋から続いている連敗を46でストップさせ、赤門旋風を巻き起こす。【斎藤直樹】

 ◆浜田一志(はまだ・かずし)1964年(昭39)9月11日、高知県生まれ。土佐-東大。外野手で4年時は主将。リーグ戦通算打率2割1分3厘。3年春の1試合2本塁打、シーズン3本塁打は東大記録。東大大学院卒業後、新日鉄に入社。94年に学習塾を開業。08年に東大スカウト就任。