<明治神宮大会:亜大7-0八戸学院大>◇17日◇大学の部準々決勝◇神宮

 大学の部は、広島から2位指名を受けた亜大(東都大学)九里亜蓮投手(4年=岡山理大付)が、7回12奪三振の力投で、7年ぶりの日本一へ好発進した。八戸学院大(東北3連盟)を3安打に抑え、8回コールドで勝利した。

 7回2死二塁。亜大・九里は138キロの直球で、この日最後となる12個目の三振を奪うとこん身のガッツポーズをした。神宮のカクテル光線を浴び、ひときわ輝いた笑顔でベンチに走りだした。

 目を見張る投球だった。7回を3安打12奪三振で無失点。「直球は最近じゃ良かった方です」と力で押した。最速145キロの直球と、打者の手元で鋭く落ちるツーシームを武器に、試合開始から5者連続三振と手がつけられなかった。

 胸に刻んだ悔しさがある。昨年の明治神宮大会準決勝、桐蔭横浜戦のマウンドを任された。6回まで好投を続けたが、7回に2失点。そのまま敗れ、日本一を逃した。「去年の11月13日。自分のせいで負けた。あの日のことは1日も忘れたことがない」と明治神宮大会で優勝することが目標となった。今大会前には400球を投げ込むなどあらためて下半身を強化した。

 もう1つ負けられない理由がある。小久保ジャパンで活躍した九州共立大・大瀬良大地投手(22=長崎日大)の存在だ。広島からドラフト1位指名された“同期”から大会前にメールで連絡が来た。「俺の分も頑張って優勝しろよ」。激励に九里は「ああいう所(9日の台湾戦)で投げられるのはすごい。同期として負けたくない」と発奮した。

 「怖いっす」と話すが、7回には投前にキッチリ犠打を決めた。東都大学リーグはDH制で打席に立たないが、広島入りへ向けての準備も万端だ。「4年間やってきたことをしっかり出すだけです」。まずは悲願の日本一へ、九里は全力で腕を振る。【島根純】