岸2世だ!

 広島がドラフト上位候補として天理大・小山雄輝投手(4年=大府)をリストアップしていることが14日、分かった。11日の阪神大学リーグ関西外大戦で完封した小山の投球を、苑田スカウト部長も直接視察。細身ながら187センチの長身から投げ下ろす最速149キロ右腕は、西武・岸を思わせる。今ドラフトでは即戦力投手の補強が最優先だが、将来性抜群の好素材も狙う。

 小山は最速149キロのストレートとカーブ、スライダー、フォークを駆使する本格派右腕。大学2年まで内野手としてプレーし、投手転向後の経験が浅いことから、今後大きく成長する可能性を秘めた逸材だ。細身の長身、長い手足、そして端正なマスクは、東北学院大から入団し、西武の主力投手に成長した岸を思わせる。

 この秋は右背筋痛に苦しんでいたが、11日のリーグ戦・関西外大戦で復帰し、最速147キロの速球を武器に完封。中1日で同カードに先発した13日も1失点完投勝利を挙げた。各球団スカウトの評価も急上昇。小山の投球を視察した苑田スカウト部長は「未完成の素材で、しなやかな感じ。ただし、投手としてはまだ経験不足。体の柔らかさを使い切れていないし、ひじの使い方もまだ分かっていないようだ。それが分かれば、大化けする可能性がある」と話した。プロ入りすれば、天理大出身初のプロ野球選手誕生ともなる。

 広島は、今ドラフトでの補強ポイントを即戦力投手に置いている。今季は前田健がめざましい成長ぶりを示したが、大竹や守護神永川ら主力投手の相次ぐ故障で投手陣の層の薄さを露呈し、チーム防御率4・80に終わった。このため、開幕28人枠に入ることができる即戦力投手の指名が基本線となっている。18日に行われる予定のスカウト会議では、早大・大石達也投手(4年=福岡大大濠)や同・斎藤佑樹投手(4年=早実)、同・福井優也投手(4年=済美)、中大・沢村拓一投手(4年=佐野日大)、佛教大・大野雄大投手(4年=京都外大西)ら1位候補をはじめ、他の候補選手についても順位付けを行い、他球団の動向を想定しながら指名シミュレーションを行う。

 狙い通りに即戦力投手を指名できれば、3巡目以降で将来性を買った伸びしろのある好素材を指名できる。小山はその候補としてうってつけ。広島が、岸2世に狙いをつけた。