阪神が、28日のドラフト会議で早大の155キロ右腕、大石達也投手(4年=福岡大大濠)を1位指名する方針を固めたことが24日、分かった。中大の沢村拓一投手(4年=佐野日大)と2人に絞り込んで調査を進めてきたが、このほど一本化。大学最強ストッパーの獲得に動く。ただし、人気の高い大石は他球団との競合が必至。くじ引役は真弓明信監督(57)が務めるが、すでにオリックス岡田彰布監督(52)も大石獲得への参戦を表明。さらに楽天監督への就任が決定的な星野仙一氏(63)の参戦も予想され、新旧阪神指揮官トリオによる抽選対決が実現する可能性も出てきた。

 真弓阪神が学生NO・1守護神にターゲットを定めた。28日のドラフト会議で1位に挙げるのは、早大の155キロ右腕、大石だ。同じく最速157キロを誇る中大の右腕、沢村と2人に絞り込んで調査を進めてきたが、この日までに一本化。真弓監督も入る27日の最終スカウト会議で、正式決定される。そして虎の大石指名により、ドラフト史上初となる阪神の新旧3監督によるクジ引き対決が生まれる可能性が出てきた。

 大石は今ドラフトで同窓の斎藤佑樹(4年=早実)をもしのぐ人気ぶり。早々とオリックスが1位指名を決め、楽天や横浜、広島、ソフトバンクなども1位の有力候補に挙げている。阪神首脳も競合は覚悟の上で「うちが決めた選手に行く」と参戦を決定。1位指名の抽選は11連敗中だが、今年のくじ引き役はこの日までに真弓監督に決まった。だがライバルを見渡せば、オリックス岡田監督は「そら(自分で)引くよ」と母校早大の後輩を引き当てる意欲満々。この時点で真弓vs岡田という、ドラフト史上初の阪神新旧監督対決が決定した。

 さらに興味深いのが「星野楽天」の動向だ。楽天も現時点では大石が1位指名の最上位候補。27日に監督就任会見を行う星野氏にとって、翌28日のドラフトが事実上の初仕事になる。当然、競合ならくじ引き役を務めるのは自然な流れ。新監督の意見も反映したうえで、楽天の大石の指名が確定すれば阪神真弓、オリックス岡田、楽天星野と直近3代の阪神監督経験者が、当たりくじを巡って獲得対決することになるのだ。

 大石は威力ある真っすぐに、切れ味鋭いスライダーとフォークが武器の本格派。久保田、藤川につなぐ投手が手薄だった阪神にとって、セットアッパー候補の獲得は急務の課題だった。坂井オーナーも補強について「中継ぎがポイント」とコメント。黒田編成部長は「27日までどちらにいくか分からない」とこの日も慎重に言葉を選んだが、先発では秋山、鶴ら若手が台頭、来季は岩田ら故障者組の復活も望める。さらに大石は救援だけでなく、先発も可能とするスカウト陣の見解を総合判断し、決断に至ったようだ。

 来季の命運を握るドラフトまであと3日。公式戦を前に、真弓vs岡田vs星野が火花を散らすのか。歴代3虎将がキーマンとなる運命の1日から、目が離せなくなってきた。【松井清員】