<東都大学野球:東洋大2-1亜大>◇第6週最終日◇13日◇神宮

 今秋ドラフト1位候補の東洋大・藤岡貴裕投手(4年=桐生一)が、来秋ドラフトの目玉、亜大・東浜巨(なお)投手(3年=沖縄尚学)に投げ勝ち今季5勝目(1敗)、現役最多の通算26勝目(9敗)を挙げた。3回に先制を許したが、8回に1番小田裕也外野手(4年=九州学院)の2点二塁打で2-1と逆転。8、9回の2イニングで4三振を奪い140球完投。勝ち点3とし、チームの春秋連覇へ望みをつないだ。

 藤岡が東洋大の連覇にいちるの望みを残した。敗れれば優勝争いから脱落する一戦。強くライバル視する東浜との学生最後の投げ合いに、負けるわけにはいかなかった。互いに被安打5と、我慢比べの勝負を制し「優勝したいという気持ちと、東浜に負けたくないという気持ちで投げました」と満足そうな表情で振り返った。

 これで通算勝利でも1つ東浜を上回った。1学年下の右腕と勝利数を競る形だが、藤岡が本格的にチームの軸となったのは3年生から。3年春からの2年4季で挙げた勝利は22勝と驚異的な数字だ。

 最速153キロの剛腕はスタミナも十分だ。今春リーグ戦は全11試合のマウンドに上がった。今季も10戦中7戦に登板、中1日での登板は4カード中3カードに上る。通算完投数は登板48試合中23試合。うち22完投はこの2年で記録した。視察した中日正津スカウトは「年間を通じて連投や中1日で投げる、精神的な疲れもあると思う。その中でも、それなりに抑えるのだから大したもの」と称賛した。

 フィールディングも抜群だ。この日も1回に左を抜けようかというライナーを好捕。3回は1死三塁から9番下舘の初球スクイズを難なく外した。多くのプロスカウトが「即戦力の先発左腕」と高評価するゆえんも、この辺りにある。

 27日のドラフトで最も重複指名される可能性が高い。運命の日は近づいたが、まだそれほど意識していないという。今の優先事項が、チームの優勝だからだ。亜大、青学大の勝敗次第という状況だが「他力本願だけど可能性は残っている」と力を込めた。【清水智彦】