侍ジャパンが完敗した。第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)へ向け初の対外試合となる「侍ジャパンオープニングマッチ」がKIRISHIMAサンマリンスタジアムで行われ、ソフトバンクに4安打の無失点リレーを決められた。8回には、途中から一塁守備に入った内川聖一外野手(34)が相手の打者走者と交錯し負傷交代した。診察結果は右肩打撲で大事に至らないのが幸いだったが、個々の状態を上げると同時に、ベンチのやりくりも整備が急務だ。

 内川が最初の守備機会で負傷した。8回の守備から一塁に入った。無死一塁の場面で、ソフトバンク斐紹が初球を送りバントした。捕手小林の低く強い送球を落球した。ボールを拾おうと身を翻したところに、斐紹が突っ込み衝突。右肩を強打し、うずくまった。

 しばらく動けず、担架が運ばれると立ち上がった。トレーナーは患部を動かさないよう抱え込み、ベンチまで歩いた。試合後に宮崎市内の病院で検査を受けた。小久保監督は会見で「すぐ動ける状態かどうか。そこだけが心配です」。結果は右肩打撲で大事に至らず、が救いだった。

 終盤のアクシデントで、陣容と用兵の盲点が浮き彫りになった。二塁が本職の山田と菊池を併用すると、有事の対処が複雑になる。

 山田のDHを解除して一塁へ回した。内川が抜けて空いた5番には、投手の松井が入った。小久保監督は「最悪、山田の一塁は頭の中にあった。ケガは想定外だけどプラン通り」と説明したが、山田は一塁の守備練習をしていない。9回2死で次打者が投手秋吉の状況になると、下半身に不安が残る嶋を代打としてネクストに送るしかなかった。

 攻撃そのものも低調だった。「菊池1人が目立った。筒香はどっしりして、何も言うことはない」と小久保監督。確かに職人は猛打賞で二塁の定位置確保に前進し、4番は1安打2四球と全打席で出塁した。しかし、いくら初の実戦とはいえ、左右6投手に対し4安打に封じられては寂しい。相手が3盗塁したような「仕掛け」のテストもままならなかった。

 走者を3度抱えた5番の中田は無安打、1併殺。本番でも同じ状況が何度も訪れる。小久保監督が「個々の状態を上げていくだけ。クリーンアップはいじらない方向。中田は日本ハムの実戦から無安打が続いているみたいだが、あと10日ある。彼が打たないと話にならない」と注文を出すのは当たり前。3月7日キューバ戦まで残り4試合。課題をつぶす時間は短い。【宮下敬至】

 ▼日本代表が練習試合のソフトバンク戦で完封負け。過去のWBC大会前に対戦した強化試合などの初戦は、06年○7-0・12球団選抜、09年○10-0巨人、13年●0-7広島で、前回に続き初戦無得点となった。WBC大会前の練習試合や強化試合、本大会を通じ、三塁を踏めなかったのは初めて。