侍ジャパンがWBC1次ラウンド開幕戦(7日、東京ドーム)で対戦するキューバ代表には、大きな弱点がある。弱点のキーワードは「左」だ。この日は京セラドーム大阪で行われた強化試合でオリックスと対戦。3-3で引き分けた。

 キューバ代表メンバーの15人の野手のうち、左打者は2人でスイッチヒッターは1人。オリックス戦のスタメンも左打者は1人でスイッチヒッターが1人だけだった。極端に左打者が少ないという傾向は代表メンバーだけの話ではなく、キューバ国内で野球をする選手はほとんどが右打者ばかり。その影響が“弱点”の連鎖反応を生み出している。

 左打者が少ないから、左投手の必要性が薄くなる。左投手が少なくなれば、当然のように右打者は左投手との対戦に慣れていない。この傾向は投手にも影響し、左打者の攻略に慣れず、苦手になる傾向がある。

 オリックス戦の内容を見ても、投手も野手も“左アレルギー”が出ている。投手は左右にかかわらず、左打者の内角ストライクゾーンに投げるのが苦手。今試合で左打者の内角へストライクゾーンに投げられたのは10球以下。明らかなボールだったり、甘くなるケースがほとんど。スタメン出場した左打者との対戦成績も13打数6安打2四球だった。

 攻撃でも先発した松葉と3番手でリリーフした海田の両左腕から、打者17人で内野安打が2本だけ。外野に飛んだ打球も1本だった。内角のストライクゾーンに入る球は12球ほどあったが、半分が見逃しで、ファウルも3球だけ。いい当たりはなかった。

 キューバ国内でなぜ左打者が極端に少ないかは分からない。キューバ野球を勉強するため同地を訪れた巨人の後藤コーチは「12歳以下の小学生は、右打者でも試合で1打席は左打席に入らないといけないルールがあるんです。左打者が少ないからルールができたと聞きました。ビックリしますよね」と話している。

 投手メンバーも12人中10人が右腕。予備メンバーも7人中6人が右腕だ。開幕戦で対戦する侍ジャパン。左投手と左打者の活躍が、勝利のカギを握っている。【小島信行】