藤浪がWBC初マウンドで冷や汗のち、奪三振ショーで2回0封デビューを飾った。先発武田の後を受けて4点リードの4回から登板。気迫満点の投球で簡単に2アウトを奪ったが、直後に下位打線に死球、四球と手元が狂った。だが変化球主体に切り替えると、そこから4者連続三振を奪い、得点を許さなかった。

 「抑えてやろうという欲が出た」。冷や汗は4回2死の場面だ。右の7番打者に150キロ台の直球を連発した。ファウルされた4球目はこの試合最速の155キロを計測。だが、直後の5球目直球が打者の脇腹にズドン。続く左打者には4球連続ボールで四球を与えてしまった。

 だが、初の大舞台でも冷静さを失わないのが藤浪のすごさだ。「球種の組み立てというか、ストレートだけにこだわらずうまく配球できた」。捕手小林とも話し合い、配球を切り替えた。するとキレ、曲がり抜群のカットボールがズバズバ。女房役が大野に変わった5回もKマークを重ねた。

 小久保監督も「そんなに暴れることもなく、まっすぐが抜けることもなかった」と修正力を評価した。3戦目にようやくまわってきた出番。試合後は「小さいころから憧れていた大会。マウンドに立てたことはうれしかった」と笑顔になった。

 ネット裏に陣取っていたメジャースカウト陣に、3連勝突破に一役買った投球はどう映ったのだろうか。2次ラウンドも中継ぎ起用が続くが、求められた仕事に応えて世界一奪回に貢献する意気込みだ。