高まる相撲人気の波及効果は、角界以外にも表れ始めている。春場所前、大阪大で土俵開きが行われた。創部6年目の相撲部はコンクリート上にマットを敷いて稽古していたが、頭を強打する部員が出るなど、ケガ人の多さが悩みだった。

 そこで前主将の中山皓太郎(3年)は考えた。高須クリニックの高須克弥院長が、リオ五輪男子サッカーのナイジェリア代表に資金援助したニュースを見て「相撲部の援助もお願いしよう」と決意。マットがよれて足が引っかかり、すり足もできない状況を説明し、土の土俵で稽古したい思いを手紙に書いた。好角家の同院長は、その熱意を感じとり「転んでバカになったら国家の損失」と500万円の援助を決め、立派な土俵が造られた。相撲への理解が深い経営者の登場も、人気の高まりがあってこそだろう。

 4月から4年生の中山は、経済学部で金融工学を学ぶ。身長183センチで相撲の実力も十分。昨年の西日本学生85キロ未満級で優勝し、全国3位。「学生最後の1年はすべて相撲にささげたい」。念願の土俵で稽古を積めば、琉球大の一ノ矢、名古屋大の舛名大(ともに元三段目)に続く国公立大を経ての角界入り、という夢も膨らむ。【木村有三】