春場所では平成生まれの関取が36人となり、昭和生まれ関取(34人)の人数を初めて上回った。世間では「ゆとり世代」などと呼ばれ、打たれ弱さなどがしばしば指摘されるが、角界の平成生まれはひと味違う。

 関取最年少で20歳の貴景勝は敗れても堂々としている。10日目には自分より55キロ軽い、114キロの石浦に押し出されて土俵下まで転げ落ちた。支度部屋で「なんですかね。うまいこと肩口を…」と言いかけてから吹っ切れたように言った。「まあ弱かったから。ただ単に実力がなかった。横綱に勝っても1勝。序ノ口に負けても1敗」と、潔く独特の言い回しで反省した。

 24歳の北勝富士は、右ふくらはぎの肉離れを抱えながら土俵に立っている。ここまで6勝7敗。6割程度の力しか出せていないというが、「最初は3割ぐらいの力だった。でも師匠(八角親方)から『やりながら治すんだ』と言われた。どうやって治すんだと思ったけど、今は実行できているかな」。困難な状況に直面しても気持ちは前向きだ。

 もちろん、ほかの平成生まれの力士も負けていない。平成2年生まれの大相撲担当1年目の記者には見習うところばかりだ。【佐々木隆史】