今年の大相撲を象徴する1つに「懸賞」がある。何と言っても数の多さ。とうとう、9日目で初めて年間の懸賞総本数が1万本を超えた。土俵上で直接手渡される手取りだけでも3億円超え。記念すべき1万本目を手にしたのは高安で「すごいですね。何かもらえないかな」と驚いていた。

 年間で初めて5000本を超えたのは06年。以降、1場所中止となった11年を除いてほとんど変動のなかった総本数は14年に7000本を超えて、15年は9842本、16年は9888本と、大台に迫っていた。

 今年は永谷園といった“定番”に加え、稀勢の里の化粧まわしにある「北斗の拳」や、好角家で知られる「デーモン閣下」などが登場。種類が豊富で、ユニークな懸賞旗に目も留まる。

 そんな中、ひょんなつながりでついた懸賞もある。再入幕の安美錦には今場所、これも定番の高須クリニックが懸かった。秋場所で「高須院長が来たときはわりと勝ってる」との言葉が伝わり、幕内に戻ったら懸けると院長が約束して実現された。直接の面識はない2人。安美錦は自身のブログで礼を言った。「十両にいたら懸賞のありがたみが分かるよ」。懸賞も、相撲の彩りの1つ。【今村健人】