WBC世界スーパーフェザー級元王者で同級1位三浦隆司(32=帝拳)が同級2位ミゲル・ローマン(31=メキシコ)を12回53秒KO勝ちで下し、王座挑戦権を得た。劣勢の10回に強烈な左ボディーでダウンを奪い形勢逆転すると、勢いままに12回に3度目のダウンで仕留めた。戦績は36戦31勝(24KO)3敗2分け。次は同興行メインで王座を獲得したミゲール・ベルチェルト(25=メキシコ)戦が見込まれる。

 グググッと力をため切った左拳が、低空軌道で腹に向かった。三浦の真骨頂「ボンバーレフト」。今回はストレートではなく左ボディーでブロックの下の右腹をえぐると、ローマンは頭からキャンバスに突っ伏した。採点でリードを許していた10回、漫画のような独特な軌道で起死回生の一撃。「中盤、スコアで負けていると感じていたので10、11回は倒すのを意識して前に出た」。11、12回もダウンを奪い、米国2戦目で初勝利を呼び込んだ。

 身長169センチと165センチ。公式では4センチ差も、見た目は10センチ差以上。小柄なローマンにペースを握られた。懐に飛び込まれ、連打をもらう。準備してきたのは、従来の「じわじわ前進する」戦いから足を使うスタイル。ただ、今回は相性が悪い。連打につなげる足の位置をミリ単位まで追求するほど磨いたが、不発。「勝負にいけ」と、セコンドからゲキが飛んだ7回以降は、声を上げながらの豪快なパンチが際立った。

 15年11月に米ラスベガスで王座から陥落し、離れて暮らしていた彩美夫人と子どもを秋田から東京に呼び寄せた。記念日なども一緒に過ごし、一時のリラックスをもらう。食事面ではラム料理も楽しみ。肉食派だが「減量で鶏のささみを水で流し込んでも、おいしくないし、ストレス」という。「臭さがいい。栄養もある」と羊が最近の主食。夫人の手料理で力を蓄えてきた。

 メインでは王座を奪われたバルガスが、元WBO同級暫定王者ベルチェルトに屈した。雪辱機会は失ったが、目標はあくまでも世界王者返り咲き。「まだまだ強くなれるように頑張ります、ボンバー!」と、新たな標的に照準を合わせる。