昨年現役引退したプロボクシング元世界3階級王者長谷川穂積氏(36)が3日、真正ジムの後輩へ珍指令を送った。恒例となった生田神社(神戸市)の豆まき神事に、東洋太平洋スーパーバンタム級王者久保隼(26=真正)と参加。入場制限がかかる大盛況の中、約1500人に豆を投じた。

 隣で豆まきをした久保は、所属の山下会長がすでに「今年世界挑戦させる」と明言する有望株。真面目な久保の取材対応を見ていた長谷川氏は「メディアに大きく取り上げてもらうようなコメントをせなアカン」と心得を説いた。

 現役時代の長谷川氏はボクシング専門誌と、スポーツ新聞などで話す内容を使い分けていたという。「専門誌には専門的なことを言うけれど、スポーツ新聞の記者さんに『自分が得意なものは?』と聞かれたら、専門的なことより『右ストレートです』というようにハッキリと答えないと」。その上で「『チャンピオンになったら(高級住宅街の)芦屋に家を建てます!』とか『今住んでいる寮を買い取ります!』とか、なんかあるやろ!」と笑いを誘った。

 長谷川氏の珍指令の真意は、主に読む人が何を求めているかにある。ボクシングファン意外も多く目にするスポーツ紙には、分かりやすく、興味を引く話題を発信せよ-というのが考えだ。長谷川氏自身も「僕は指導者としてプロを作るというより、知らない人に知ってもらって、ボクシング好きを増やしたい。今年から仕掛けていきますよ」とニヤリ。元世界王者だからこそできる、ボクシング界発展への尽力を誓った。

 一方で、世界挑戦に注目が集まる久保は「どの試合でもやることは変わらない。タイトルは意識せずにやりたい」と優等生発言。笑う長谷川氏の隣で「長谷川さんは何回も豆まきされている。僕もこれからも呼んでいただけるように、結果を残したい」と意気込んだ。