世界戦経験もある同級4位天笠尚(31=FLARE山上)が、3つ目の王座獲得に失敗して引退を表明した。

 4度目の来日となる同級5位リチャード・プミクピック(27=フィリピン)との王座決定戦。パワフルなパンチに初回から守勢で、2~6ポイント差の0-3で判定負けを喫した。「進退をかけていた。引退ということになる」と話した。

 初回から大ぶりなフックを顔面にもらった。スピードある踏み込みから、目いっぱい振ってくるパンチに守勢になった。天笠も右ストレートをクリーンヒットも続かない。8回にはコーナーに追い込んでの連打で相手はダウン寸前も倒せず。終盤はまた攻め込まれ、反撃する場面もなく終わった。判定後はガックリ肩を落とし、しばらくはコーナーの椅子に座ったままだった。

 途中で右肩、背中、首に痛みを感じた。「打たれたから仕方ない。単純に弱かった。聞いてはいたが、パワーがあって強かった。攻撃の糸口がつかめなかった」と完敗を認めた。日本、東洋太平洋に続いて3本目のベルトが掛かった一戦。何よりも世界ランク入りし、2度目の世界挑戦へのステップを期していた。「チャンスをつくってもらい、分岐点と思って」と臨んでいたが「打開する気持ちも技術もなかった。怖さも感じてしまった」という。

 14年にはリゴンドー(キューバ)を相手に世界初挑戦し、2度のダウンを奪った。その後は反撃を浴びて顔を腫らせて11回TKO負けも評価を高めた。「普通に経験できないことを経験できた。やりきった感が強い。最高のボクサー人生だった」と振り返った。