ボクシングのWBA世界ミドル級王者アッサン・エンダム(33=フランス)が17日、挑戦者に同級1位村田諒太(31=帝拳)を迎えるタイトルマッチ(22日、両国国技館)へ向けた練習を都内のジムで公開した。不可解判定での勝利が議論を呼んだ5月の王座決定戦からの直接対決。質疑応答では作戦などの質問をはぐらかす場面が散見され、「アフリカン・サムライになる」と宣言した。

 エンダムの煙幕か。練習に先立った会見で、かみ合わない答えを続ける王者がいた。「ディアス・トレーナーに聞いてくれ」。村田対策、警戒するパンチを聞かれると同トレーナーに代弁を願い、その答えも「2人のボクサーが2つの作戦を立てる。その勝負になる」など的を射ないものばかり。5月も同様にけむに巻く場面はあったが、一層徹底された印象。当人が答えたわずかな問答もさらにかみ合わない。

 Q 村田のブロック技術対策は?

 A 村田は大変素晴らしい人物。ハートがある。

 Q 意気込みは?

 A 週末は嵐が起こる。自分に味方してくれる。

 Q 嵐とは?

 A アフリカン・サムライになる。サムライは勝つとバンザイすると聞いた。私もバンザイしたい。

 侍、万歳は日本語。確かにカメルーン出身のフランス人だが…。珍妙な発言が続いた。

 練習も独特だった。サンドバッグに人の顔型のグッズを装着して打ち込んだり、リング上で前転を繰り返してからシャドーを行ったり。5月以上にオリジナル性を発揮して、発言も含めて不気味さを残した。

 第1戦では4回にダウンを喫したが、12回を戦い抜いた。村田は大きく戦い方を変えずにKOでの完全決着を望むが、「自分は倒すつもりはない。12回戦い抜く」という真意は果たして。試合での軽快な足さばき同様、核心をかわし続けた。【阿部健吾】