ボクシングのWBA世界ミドル級新王者となった村田諒太(31=帝拳)が、変わらぬ「挑戦」を誓った。直接再戦となった前王者アッサン・エンダム(フランス)を棄権による7回終了TKOで下してから一夜明けた23日、都内ジムで会見。防衛回数へのこだわりはみせず、さらなる「トップ・オブ・トップ」がそろう、ミドル級覇権争いの中心に踏み込む決意を言葉にした。

 

 「チャンピオン」。その呼び掛けに、村田は思わず相好を崩した。「むずがゆいですね」。一瞬言葉につまり、時期尚早を伝えた。「もっといろいろなものを証明して、その上で本物の王者、誰もが認めるビッグチャンピオンになれれば。まだその段階ではない」。そのためには…。「守るというのは難しい。勝てるだろうという相手と試合すると心も作りにくい。どんどんチャレンジしていきたい」と口元を引き締めた。

 前夜は深夜3時まで支援者にあいさつ回りし、早朝からはテレビ出演も続いた。正午からの会見でまぶたは重たそうだったが、挑戦の意思を口にする顔には生気があふれた。

 「トップ・オブ・トップ」。ミドル級最前線の一流ボクサーたちをそう称する。「まだまだ海外では『村田諒太って誰やねん』という段階」だと自認する。王座には就いたが、WBAにも上位のスーパー王座に絶対王者ゴロフキンが鎮座。WBC、IBF王者も統一するボクシング界の顔役を巡り、元王者や、他階級の王者がひしめく。手にしたベルトは、その戦場に割り込むチケットになる。

 来春には初防衛戦を予定するが、守勢には回らない。「回数は考えていない。年齢も年齢ですしね。皆さんが見たいという試合、ビッグファイトにつながる試合をしたい」。最短の道はない。海外にも名を知らしめる戦いを続けるしかない。試合同様、村田には攻めの姿勢こそ、よく似合う。【阿部健吾】