フィリピン出身の同級王者マーク・ジョン・ヤップ(29=六島)が3度目の防衛に成功した。

 同級7位中嶋孝文(33=竹原慎二&畑山隆則)に的確にパンチを浴びせ、後半は足を使って反撃をかわし、3-0で判定勝ちした。

 初回はジャブを突いて先手をとり、左アッパーでロープまで吹っ飛ばした。2回には中嶋の左まぶたをカットさせ、ワンツーにボディ攻撃もよくリードを広げていった。中盤以降は足を使ってサークリング。大ぶりパンチをかわしながら、逆に正確にパンチを打ち込んだ。ダウンは奪えなかったが、採点は6ポイント差が1人4ポイント差が2人と差がついた。

 ヤップは「ダメージはない。しんどいけど我慢した。スタミナも大丈夫」と片言の日本語交じりの英語で話した。元世界王者長谷川のスパーリングパートナーで、日本のリングに上がると枝川会長の目に留まって14年に六島ジムへ移籍。初戦黒星後は10連勝し、WBCでは5位、IBFで8位につけている。

 枝川会長は「試合前にオッという話があった」と言う。世界挑戦の話が浮上したことで「今日は勝つことが最優先。ポカもあるし、相手の一発もある。ポイント差も見て」と後半はアウトボクシングに徹しさせた。昨夏のV1戦では初回に3度ダウンからの逆転KO勝ちだった。攻撃一辺倒からテクニックに足もあるところも証明した。

 1月中旬からは1カ月渡米した。WBC世界スーパーフライ級王者シーサケット・ソー・ルンヴィンサイ(タイ)のパートナーを務めた。その成果に早めの調整も奏功した。枝川会長は「こういう勝ち方も必要」と世界を見据える。現在のWBC王者は岩佐亮佑(セレス)だが、ヤップは「相手は誰でもいいから、世界王者になりたい」と目を輝かせた。