大相撲の元貴ノ富士ことスダリオ剛(25=HI ROLLERS ENTERTAINMENT/PUREBRED)がワンパンチの53秒KO劇で復帰戦を勝利で飾った。RIZIN連勝中の関根“シュレック”秀樹(48=ボンサイブルテリア)をカウンターの左フックを炸裂させ、1回TKOで退けた。ケガから9カ月ぶりの復帰戦で圧倒的な勝利を飾り、海外挑戦を宣言した。

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9カ月ぶりとなる復帰戦のリングで、成長を証明した。スダリオは総合4連勝中と勢いに乗る相手に、開始早々の1回53秒、カウンターの左フックを叩き込んで、ダウンを奪取。さらにパウンドを落とそうとしたところで、レフェリーが慌ててストップをかけた。一瞬、そしてたった一撃のパンチで、TKO勝利。試合後は「次は外国人選手とお願いします」と、国内敵なしを叫んだ。

昨年11月、練習中に左ひざを負傷し、手術を受けた。それでも、休まずにウエートトレーニングを続け、完治の前には米国修行を敢行。米総合格闘技のベラトールで活躍するティモシー・ジョンソンらと練習を重ね「ケガをする前より強くなった」と自信を深めた。

技術だけではなく、メンタル面でも進化を示した。昨年3月のデビュー3戦目の宮本和志戦では、自身のKO勝ちで試合終了したにもかかわらず、攻撃を加え続けて罰金処分を受けていた。この日は、パウンドを落とそうとする手を自身の判断で止めた。「1発入った時にもう(相手の)目が飛んでいた。無抵抗だった」。冷静に試合を運んだ結果だった。

大相撲時代は最高位西十両5枚目として活躍も、19年9月に付け人への2度目の暴力行為が発覚して引退。総合格闘家転身後は、元格闘家エンセン井上氏の元で腕を磨いてきた。20年9月にプロレスラー、ジェームス・ライディーン戦でRIZINデビューを果たすと、約2年間で5勝1敗の実績を積んだ。体重120キロは、さらに筋肉むき出しになった。心身ともに生まれ変わったスダリオ。国内のスケールには収まらない。【勝部晃多】

◆スダリオ剛(すだりお・つよし) 1997年(平9)5月13日生まれ。栃木県小山市出身。13年に大相撲・貴乃花部屋に入門。同年3月場所で初土俵を踏むと、15年3月に幕下、18年3月に新十両に昇進。弟の貴源治とともに史上初の双子関取となるが、付け人への暴力行為が発覚し19年に引退。20年9月のRIZINで総合デビューを果たした。プロ戦績は5勝1敗。身長191センチ。

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