<JWP:JWP-CLIMAX2011~米山香織FINAL>◇23日◇東京・後楽園ホール◇1170人

 女子プロレスラー米山香織(30)が前代未聞の引退撤回劇を演じた。99年11月にデビュー。小さな体を活かした動きと、明るいキャラクターで人気を博し、数々のベルトを獲得。10年7月に奪取したJWP認定無差別級王座は10度防衛し、最多防衛記録を保持していたが「全力で自分のスタイルを表現するためにゴールを決めていた」と今年いっぱいでの引退を決意した。デビュー戦と同じ相手、同じ場所となる春山香代子(32)と引退試合を行い、18分48秒、ダイビング・ギロチンドロップからの片エビ固めで敗戦。12年のプロレスラー生活にピリオドを打つはずだった。ファンや関係者に惜しまれながら引退セレモニーも行われたが、米山はテンカウントゴングの途中で「やっぱり辞めたくない」と泣き崩れる。それでも「引き返せない」と答えを出せずにいると、ブル中野(43)がリングに上がり引退記念興行(1月8日、TDCホール)への出場をオファー。これで決意した米山は「本当にわがままでごめんなさい。引退撤回します」と宣言した。今月に入り初の海外遠征を経験。帰国後は12日間で17試合という強行スケジュールで戦い続け「今までよりプロレスが大好きになっちゃった」と引退を悩んでいた。

 引退試合を行った直後に引退撤回をした例としては、最近ではアイスリボンの安藤あいか(25)が08年8月に行っている。しかし、米山はトップクラスの選手であり、自身の引退記念興行として開催された大会だっただけに、業界に与える反響は大きい。会場のファンは大きな拍手と声援で歓迎したが、米山は多くの批判を受けることも覚悟している。「もう二度と引退試合はできないかもしれないし、これからつらいことがあると思うけど、覚悟を決めて大好きなリングに上がり続ける」と強い決意を見せた。

 また、09年5月に引退した中島安里紗(22)が来場し「やっぱり私の生きがいはここしかない」と復帰を発表した。12月から練習を再開しているが、復帰の時期は未定。