WAVE、OZなどを主戦場にしている女子プロレスのトップ選手・栗原あゆみ(28=フリー)が28日、東京都内で会見し、今年8月限りで現役引退することを発表した。8月4日に後楽園ホールで引退試合を行う。

 栗原は「(古傷の)鎖骨の調子が良くない中、つきあいながらやってきたが、何をやるのも全力という自分のスタイルを続けるには体のリミットが近づいていると感じた」と決断に至った理由を説明した。古傷は冬になると痛みだし、試合が続くときは腫れて、腕が動かせなくなることもあるという。「試合でその状態になってしまうと、練習も限られたものになってしまう。試合も練習も全力で取り組めないと嫌なので…」と話した。

 栗原のプロレス人生はケガとの戦いでもあった。デビュー3年目の07年には右鎖骨を骨折し、約1年半もの長期欠場を強いられた。骨折部分が順調に再生されず「偽関節」と呼ばれる状態になったため、骨盤から骨を移植する大手術を行った。骨が再生された後も用心のためプレートは埋めたまま戦っている。

 今年2月10日にも試合中に眼窩(がんか)底骨折の重傷を負ったが、わずか1カ月後の3月17日にリングに復帰。プロレスにかける情熱を感じさせる一方で、復帰戦前には「試合をすることに対して怖さが生まれてしまった自分がいました」とコラムで明かすなど、揺れる気持ちも見せていた。

 引退試合の相手は「いろいろな人と試合させてもらいましたが、里村(明衣子)さんとはもう一度戦いたい。朱里ちゃんにも負けたままなので取り返したい」と何人も候補がいる。引退後については「報告できるときが来たら報告したい。8月4日まではプロレスラーとしてプロレスのことだけを考えたい」と話した。

 女子プロレス界ではスターダムの愛川ゆず季(29)が4月29日の両国大会で、WAVEのGAMI(44)は年内の現役引退を発表しており、またも看板選手を失うことになった。