IGFを率いるアントニオ猪木(65)が25日、プロ格闘家に転向した北京五輪柔道100キロ超級金メダリスト石井慧(21=国士舘大4年)に「激辛エール」を送った。名古屋市でのIGF愛知大会の一夜明け会見で、同大会を訪れた石井について「小さい。ジョシュ(バーネット)とやったら1分もたない」「(総合格闘技)1つだとダメになる」などと突き放す発言をした。未来を担う「金の卵」に、格闘技界の厳しさを忠告した。

 日本の格闘技界をけん引してきた猪木が、いきなり「金の卵」を酷評した。24日のIGF愛知大会で来場した石井を初めて見ただけで、猪木は期待の男をばっさりと一刀両断した。

 猪木

 ずばり言ったら小さいな(身長181センチ)。(同大会でメーンを務めた)ジョシュ(バーネット)とやったら1分も持たないんじゃないか?

 ブロック(レスナー)なんかとやったら1発だろうな。

 かつてミュンヘン五輪重量級2冠のルスカ(オランダ)、同93キロ級金メダリストのチョチョシビリ(旧ソ連)らとリングで激闘を演じてきた男の言葉だけに説得力があった。五輪で金という実績だけでは、プロでは簡単には通用しないことを強調した。

 猪木

 ルスカ、チョチョシビリは、触った瞬間に持って行かれるパワーがあった。(彼らとは)パワーが違う。いくつか戦略を持っていた方がいい。(総合格闘技)1つしかないと、ダメになることもある。

 愛知大会で石井は目的の試合を見終わるとすぐに帰路に就いた。藤波辰爾や初代タイガーマスク、総合格闘技もこなせるバーネットら多くの著名なファイターが出場していたが、交流することはなかった。それが猪木にとってはもう1つ納得がいかなかった。

 猪木

 ジョシュあたりにはあいさつをしてもいいのでは。(格闘技経験豊富な)佐山とかは教え方はうまいし、打撃とかを学んでもいい。

 若き金メダリストの鼻っ柱をへし折った猪木の言葉は、裏を返せば期待の表れともいえる。「猪木流」の激辛エールでもある。

 猪木

 (伸び悩んで)頭をぶつけて苦労して、そこから突き破っていけば成長する。いいアドバイザーに付いてもらってね。【山田大介】