ボクシングの前WBA世界ライト級王者小堀佑介(27=角海老宝石)が、首痛が悪化して長期休養に入ったことが3日、分かった。1月の初防衛戦で王座陥落後、再起を目指して2月上旬に練習を再開したが、首の後ろに強い痛みを感じて数日後には練習を取りやめた。現在も痛みが取れず、復帰時期は未定。王者モーゼス(ナミビア)との再戦など、浮上していた複数の世界再挑戦プランは白紙に戻った。

 世界王座返り咲きを目指していた小堀が、アクシデントに見舞われていた。異変を自覚したのは、再起に向けて練習を再開した直後の2月上旬。ロードワークの後、首の後ろに痛みを感じたという。「最初は寝違えたかと思った。最後まで我慢したんですけど…」。なかなか痛みが引かないため病院へ行くと、激しい運動は無理との診断で、ジムワークを中止。2カ月近く経過した今も、練習を再開できないでいる。

 デビューから約9年間、激しく打ち合ってきた。08年5月、ダウンの奪い合いの末、王者アルファロをTKOで破り、WBA世界ライト級王座を獲得。今年1月の初防衛戦でも、モーゼスに接近戦を挑んだ。だが、パンチを浴びることを覚悟のスタイルで、激戦のダメージは予想以上に蓄積されていたようだ。「やっぱり世界戦でパンチをもらっちゃいけないんですね」。モーゼス戦前から違和感のあった首が、ついに悲鳴を上げた。

 個人マネジャーの萩森健一氏によると、モーゼスとの再戦など、複数の世界戦の交渉が進行中だった。同氏は「コンディションが整わない中で、無理にやらせることはできない。様子を見るのがベスト」。再起への道筋は首痛の悪化によって白紙に戻った。

 ボクサーにとって首は、受けたパンチの加重が最もかかる部分。再起は容易ではないが、小堀は「まだやりたいつもりはある」と前を向く。現在は都内でインターネットのホームページ製作のアルバイトをしながら、戦いに耐えられる体に戻るのを待っている。