<新日本:大阪大会>◇8日◇大阪府立体育会館◇4500人

 中邑真輔(29)がG1クライマックス(G1)初優勝に向け、加速した。ノアの杉浦貴(38)を13分51秒、必殺のひざ蹴りからのエビ固めで撃破し、開幕2連勝。飯塚高史(42)に反則勝ちの天山広吉(38)と並び、勝ち点4でAブロック首位になった。試合後、中邑はひざ蹴りを「ボマイエ」と命名。「方舟(はこぶね)の刺客」を仕留めた勢いで、悲願のG1制覇を目指す。

 一撃必殺だった。手負いの杉浦の執拗(しつよう)なアンクルホールドをかいくぐり、ここぞで見せた強烈なひざ蹴り。まともに顔面に受けた杉浦は3カウントを聞くしかなかった。前シリーズから多用する中邑の新たな武器。試合後に「そろそろ名前を付けたい。『ボマイエ』(やつを殺せ)ってのはどうですか」と、アフリカ中部で用いられるバントゥー語族の言語を命名した。

 6月から神奈川県内のキックボクシングジムで練習を積んだ。初代WFCAムエタイ世界ライト級王者桜井洋平とのスパーリングで、ひざ蹴りに磨きをかけた。「高山さんや、イグナショフのひざ蹴りも受けて、効くのはわかっている。習得したかった」と、ムエタイ王者仕込みの打撃技でG1に乗り込んだ。

 史上最年少の23歳でIWGPヘビー級王座に就いた新世代の旗手も、G1には縁がなかった。過去5度出場で優勝どころか決勝進出もない。それだけに、今回にかける気持ちは強かった。

 「自分を貫けば、絶対優勝できる」。前年覇者の後藤、ノアの刺客杉浦と、相手にとって不足のない実力者から挙げた2連勝で、初のG1制覇に向け、弾みをつけた。【塩谷正人】